導入事例株式会社日本経済新聞社様

API基盤やWebサービスの開発・運用をBeeXがパートナーとして支援

日本を代表する新聞社のひとつである日本経済新聞社では、「日経電子版」などの各種Webサービスと、顧客の各種情報を管理する「日経ID」を連携させるためのAPI基盤として「MGW(Membership Gateway)」を開発。開発パートナーにBeeXを選定しました。結果、「日経ID」のさまざまな機能をWebサービスが利用できるようになっています。その後、同基盤を利用した法人向け情報サービス「日経リスク&コンプライアンス」の立ち上げにもBeeXは参画。ここではアジャイル(Agile)開発手法を採用することで、ユーザーのニーズに最大限応え、高い満足度が得られる開発の内製化を実現しています。

日本経済新聞社のサービス開発に関する課題
多種多様なシステム連携ニーズが増加
システムごとに仕様が異なるため連携が煩雑
スピーディなWebサービスの開発を実現したい
BeeXの支援による解決
オープンでフラットなアジャイル開発手法の導入
共通基盤化によりサービス開発の負荷軽減
クラウドネイティブ開発の知見によるマイクロサービスアーキテクチャの実現
AWS Lambdaを活用したAPI基盤の構築

プロジェクト秘話を動画でご紹介

スピーディなWebサービスの提供を目指し開発の内製化を進める

日本を代表する経済紙である「日本経済新聞」を中心に、「日経産業新聞」「日経MJ」「日経ヴェリタス」などを多くの読者に届けてきた日本経済新聞社。それ以外にも同社はイベント事業や文化事業などを通じ、ビジネスパーソン向けのさまざまな取り組みを長年にわたり行ってきました。

また、読者へ新たな価値を提供し続けていくという観点から、デジタル技術の活用にも積極的であり、1984年には新聞・雑誌記事をデータベースに蓄積した上で、読者が自由に検索して利用するデータベースサービス「日経テレコン」の提供を開始。さらに2010年には、新聞の高い信頼性とデジタル技術の利便性を併せ持つ「日経電子版」を創刊しています。

「日経電子版」は読者増とサービスの成長に合わせてシステム基盤も進化します。2013年ごろから、サービスを稼働させたまま柔軟にスケールアップ/スケールダウンが可能なクラウド基盤の導入を検討。モバイル版のサービス開発プロジェクトでAWSを導入したのを皮切りに、システム基盤のAWSへの移行がスタート。2015年にはシステム基盤のほとんどがAWSに移ることになりました。

こうした動きに合わせ、同社はそれまで社外のベンダーに任せていたWebサービスの開発を、可能なかぎり内製化していくことになりました。デジタル事業 情報サービスユニットの齊藤祐也氏は、その狙いについて「当時は社内のエンジニアリソースは十分ではなく、開発は社外のベンダーに頼らざるを得ませんでした。しかし、ベンダーに発注して納品されるのを待つという従来のやり方では、新たなサービスをスピーディに開発していくのは困難です。特にお客様に近いところでサービスを提供していくためには、従来のように発注側と受注側に分かれて成果物を納品する形態ではなく、リソースの不足を埋めつつチーム一体となって協力してくれるパートナーとともに開発すべきと考えたのです」と説明します。

「日経ID」の各機能とWebサービスをつなぐAPI基盤を開発パートナーにBeeXを選定

「日経電子版」の創刊を機に、新聞社と読者との関係が大きく変わりました。電子版というWebサービスの提供が始まったことで、新聞社と読者は「日経ID」を介して直接つながるようになったのです。当初、「日経ID」は日経電子版の認証のために使われていましたが、事業の拡大に応じて認可、契約・課金請求、営業支援、データ分析といった各機能を順次開発。読者の属性に加えて蓄積した利用履歴なども用いることで、一人ひとりの読者により価値のあるコンテンツやサービスを提供できるようになりました。

その一方で、新たな課題が持ち上がりました。「日経ID」の各機能を実現するシステムは必要に応じて個々に開発されたため、Webサービスを新たに立ち上げる際に「日経ID」を利用するには、仕様の異なる複数のAPIと個別に接続することになり、Webサービスの開発に大きな負担がかかるようになっていました。また、APIの開発に際しても、システムをまたがってAPIを開発する基盤がないため、システム個別に開発していく必要があり、効率的ではありませんでした。

2016年夏、同社はこうした課題を解決するため、「日経ID」の各機能とWebサービスをつなぐAPI基盤「MGW」を構築することを決めました。「MGW」はMembership Gatewayの略であり、各種Webサービスで「日経ID」をAPIとして利用するためのプラットフォームの役割を担うものです。「MGW」があれば、再利用可能なAPIによって「日経ID」の各システムがマイクロサービス化されることになり、開発の短縮化や負荷の軽減が実現することになります。

「MGW」の構築に際しては、サーバレスアーキテクチャに基づき実装されたAWS Lambdaを採用しています。サーバーの運用管理やキャパシティ管理が不要なため、運用コストを削減しつつ安定した運用が実現するだけでなく、さまざまなマイクロサービスを迅速に立ち上げていくことができるからです。

浦野 裕也 氏
  • デジタル事業
  • デジタル編成ユニット
  • 浦野 裕也 氏

開発パートナーについては、BeeX(当時はテラスカイ)に依頼することになりました。デジタル事業 デジタル編成ユニットで日経IDの開発を担当している浦野裕也氏は、BeeXに開発を依頼した経緯を次のように語ります。

「もともと当社で法人向け日経電子版の販売強化のためにSalesforceの導入に取り組んだ際、BeeXの支援を受けました。そのプロジェクトで『MGW』の開発の企画が持ち上がり、BeeXがAWSのクラウド・インテグレーションやシステム連携に特化したサービスの構築も得意としているということを知り、AWS Lambdaを採用した『MGW』の開発には最適と考えたのです」

こうして同社とBeeXは約半年かけて「MGW」の開発を進めていきました。

日本経済新聞社様の全体システム構成概要図

全体システム構成概要図

MGWの運用開始によりサービス開発の負荷が大きく軽減

「MGW」は、法人向けの新たなWebサービスである「日経電子版 Pro」のリリースに合わせ、2017年5月から運用を開始しました。「MGW」の登場で、サービスの開発に際して個別の要望にスピーディに対応できるようになり、「日経ID」を利用するサービスの数は現在60を超えています。

「『MGW』をサービス指向でスピーディに開発するため、プロジェクトの開発ワークフローを自動化するなどの工夫を行っています。例えば、単体テストの自動化はもちろん、APIのEnd to Endテストも自動化し、CIでチェックしてからデプロイをするというワークフローにしています。また、APIの監視などについても、AWSの監視ツールであるAmazon CloudWatchにログを収集して監視し、なにか異常があればSlackで担当者に知らせる仕組みを作ったり、アクセスログをデータ分析基盤のElasticsearchに配信してKibanaで可視化したりして、トラブルの際にはすぐに検知できるようにしています」(浦野氏)
「サービスの開発側は『MGW』を叩くだけで済み、本来の開発に集中できるため、その点ではずいぶん楽になったと思っています」(齊藤氏)

このように、顧客にとって価値があり、しかも使い勝手に優れたサービスをスピーディに提供できるようになり、「MGW」の存在はサービスの開発側に大きな恩恵をもたらしています。そのメリットは今後各種サービスの充実を通じて顧客へと還元されていくことでしょう。

BtoB向け新サービスとして「日経リスク&コンプライアンス」を開発

さて、日本経済新聞社ではかねてより「日経NEEDS」や「日経テレコン」といった法人向け情報サービスを展開してきましたが、この分野をさらに強化することになりました。そこで、数カ月かけて新しい事業展開のあり方を検討するとともに、それに合わせた開発改革にも取り組んでいくことになりました。

この検討会では、アジャイル開発の採用と、社内を中心にした開発体制すなわち内製化、そしてPDCAサイクルによるサービス改善という3つの柱で開発を進めていくことが決まりました。新たな事業展開では、企業の課題解決を支援するサービスの第一弾として、取引先に関する新聞記事や官公庁公示情報などの公知情報のチェックを簡単に行えるサービス「日経リスク&コンプライアンス」を開発することになりました。

この開発にあたっては、日本経済新聞社側の開発チームがPMOの役割を果たしつつ要件定義を行い、バックエンド、フロントエンド、Webデザインといった機能ごとに各ベンダーに実装を依頼することになり、バックエンドの開発については、「MGW」に続いてBeeXが選定されました。

浦野 裕也 氏
  • デジタル事業
  • 情報サービスユニット
  • 齊藤 祐也 氏

「我々のチームリーダーが『MGW』のメンバーとしてBeeXと一緒に開発をしていた経緯もあり、BeeXが候補の一つとして浮上しました。実は、今回の開発要件の一部についてBeeXはその経験がなく、これが懸念材料となっていました。しかし、『MGW』の開発実績に加え、『やれます』という力強い言葉をいただき、意を強くしました。念のため、PoCで小規模のサービスを開発してもらったところ、満足のいく成果が得られたため、十分にお任せできると判断しました」(齊藤氏)

BeeXのメンバーが新しい技術やフレームワーク、手法に対して貪欲で、積極的にチャレンジしていくメンタリティが強く、一人ひとりのモチベーションが高いことが、この採用につながったといえるでしょう。

クラウドネイティブ開発の知見を活かしバックエンドの設計開発を一手に担う

BeeXは「日経リスク&コンプライアンス」のバックエンド全体の設計を担当しましたが、新規サービスの開発ということもあり、初期段階は抽象度の高い要求が出されることとなりました。

その際にもBeeXはクラウドネイティブ開発特有の知見を活かし、個々の開発メンバーの能力を最大限発揮する体制を確立するとともに、お客様に寄り添うことで、抽象度の高い要求を、着実に具体的な仕様に落とし込んでいきました。

スクラムのスプリント期間を2週間に設定しアジャイル開発を推進

「日経リスク&コンプライアンス」の開発に際しては、タスク管理ツールにTrelloを活用し、アジャイル開発で進めていきました。

「まず、我々がデザインのワイヤーフレームを作り、UIレイヤーでの要件を詰めてから、そのドキュメントの中でサーバーサイドが決めるべきことをBeeXが詳細な仕様へ落とし、実装していきました。スクラムのスプリント期間は2週間に設定し、毎週なにかしら出てくる新しい要件に迅速に対応するかたちで開発を進め、短期間でリリースすることができました」(齊藤氏)

BeeXでは開発チームをその時々で小規模なユニットに分割し、メンバーが特定の機能に縛られない形で開発を行いました。これによって、機能の俗人化を防ぐとともに、メンバー全員が機能全体を理解することで開発メンバーの能力を最大限活用することができ、結果的に2週間(実際にはテストを含むため1週間程度)のSprintという高速な開発サイクルを回すことを実現しました。

アジャイル開発手法によるサービス開発イメージ

アジャイル開発手法によるサービス開発イメージ

アジャイル開発手法を採用したプロジェクト推進体制

アジャイル開発手法を採用したプロジェクト推進体制

「日経リスク&コンプライアンス」は2018年11月にサービスを開始しました。顧客は日経IDでログインし、チェックしたい取引先名を入力するだけで、主要な全国紙・地方紙からコンプライアンスチェックに必要な記事を簡単に確認できます。調査業務を支援するさまざまな機能を利用することで、調査にかかる時間を大きく短縮でき、担当者の負担は大きく軽減されると期待されています。

「日経リスク&コンプライアンス」画面イメージ

「日経リスク&コンプライアンス」画面イメージ

新たなWebサービスの開発にもBeeXの支援を期待

現在、「MGW」「日経リスク&コンプライアンス」の両プロジェクトは改善フェーズに移行していますが、毎週のように機能が追加されていることもあり、引き続きBeeXのメンバーが支援を行っている状況です。

「BeeXとは共同で開発を行うことで、厚い信頼関係を築くことができました。依頼したい案件はまだまだありますので、そういった要望に応えるためにも、BeeXには引き続き支援をお願いできればと思います」(浦野氏)

「我々のチームでは『日経リスク&コンプライアンス』に続く新たな法人向けサービスの開発を進めており、BeeXにはその開発の支援にも入ってもらっています。今後とも、クライアントとベンダーという立場ではなく、同じ立ち位置、同じ意識の中で、パートナーとして一緒に仕事をしていければと思っています」(齊藤氏)

日本経済新聞社が事業やサービスのあるべき姿を実現していく中、BeeXは高い技術力をベースに、オープンかつフラットなアジャイル開発を進めていくパートナーとして今後も協力していくことでしょう。

株式会社日本経済新聞社 会社紹介
1876年創刊。経済記事を中心とした質の高いジャーナリズムで、長年にわたり読者の期待に応えてきました。1972年には世界初のコンピュータによる一貫新聞製作システムを開発。1984年にはデータベースサービス「日経テレコン」の提供を開始し、2010年には「日経電子版」を創刊するなど、デジタル領域にも積極的です。また、2015年には英国の有力経済紙「Financial Times」を発行するフィナンシャル・タイムズ・グループを買収するなど、グローバル展開にも力を入れています。
  • SAP は、ドイツおよびその他の国々におけるSAP SEの登録商標です。
  • その他記載されている、会社名、製品名、ロゴなどは、各社の登録商標または、商標です。
  • アマゾン ウェブ サービスおよびAWSは、米国その他の諸国における、Amazon.com, Inc.またはその関連会社の商標です。
  • 記載されている企業名および担当者の情報は取材当時のものです。

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