ローランド株式会社

Azure

基幹システムの最新化とクラウドリフト、BIツールの切り替えという 一大プロジェクトのパートナーにBeeXを指名。自由に施策を立案でき、ビジネスの新たな展開を可能にする環境が実現

業種
製造
従業員数
1000人以上

基幹システムの最新化とクラウドリフト、BIツールの切り替えという 一大プロジェクトのパートナーにBeeXを指名。自由に施策を立案でき、ビジネスの新たな展開を可能にする環境が実現

電子楽器メーカーとしてこれまで多くの画期的な製品を生み出し、世界中の音楽ファンから愛されてきたローランド。同社は、基幹システムである「SAP ECC 6.0®」への投資ができず、古い状態のまま利用を続けていたことで、これが足枷となって連携する周辺システムのDX化に遅れを生じていました。
そこで同社は、2023年より基幹システムの最新化(「SAP S/4HANA®」への移行)および周辺システムまで含めたクラウド移行、BIツールの「Microsoft Power BI」への切り替えを並行して進める一大プロジェクトをスタート。そのパートナーにBeeXを指名しました。
BeeXの支援のもとプロジェクトはスケジュール通りに完了、システムの制約を受けずに自由に施策を立案でき、ビジネスの新たな展開を可能にする環境が実現しました。

課題
  1. 基幹システム(SAP ECC 6.0)への投資ができず、最新の状態に維持することができなかった
  2. 古い基幹システムが足枷となり、連携する周辺システムのDX化が遅れていた
  3. 基幹システムのBIツールが分断しており、他システムとの連携も不便でデータ活用が進んでいなかった
解決したこと
  1. 基幹システムの最新化(SAP S/4HANAへの移行)、周辺システムまで含めたクラウドリフト、BIツールの切り替えが実現
  2. システムの制約を受けずに自由に施策を立案でき、ビジネスの新たな展開を可能にする環境が実現
  3. データ分析基盤をMicrosoft Power BIとAzure DWHへ刷新。ERPをデータソースに統合し、社内のデータ活用をさらに推進

古い基幹システムが連携先のDX化を阻害
ビジネス成長のボトルネックを解消すべく最新化を決断

1972年、大阪市で設立されたローランド。以降、同社は電子楽器メーカーとして、国産シンセサイザーの先駆けとなった「SH-1000」をはじめ、世界初のタッチセンス付き電子ピアノ「EP-30」、ヒップホップ等の発展に大きく貢献したプログラマブル・リズムマシン「TR-808」などの製品を世に送り出し、音楽の世界にイノベーションを起こしてきました。現在は、「WE DESIGN THE FUTURE」という理念のもと、ユーザーに共感してもらえるような楽器の開発、身近に音楽を楽しめる機会の創出に注力し、音楽の新たな未来に向かって挑戦を続けています。

同社は2008年、J-SOXへの対応とグループ会社まで含めた基幹システムの統合を目的に、「SAP ECC 6.0」を導入しました。しかしその後、2014年にMBO、2020年に東証一部(現:プライム市場)へ再上場といったイベントが続いたことで、継続的な投資ができず、最新の状態を維持することができませんでした。IT本部長 CIOの井手尚幸氏は「この間、インフラや顧客向けサービス、グループウェア等についてはDXを推進していたのですが、基幹システムについては古さが足枷となり、連携するシステムのDX化が遅れていました」と当時を振り返ります。

いわゆる「SAPの2027年問題」については、同社が第三者保守への切り替えを実施していたことで、さらに数年の延命は可能でした。しかし、今後ハードウェアの調達が困難になるおそれがあり、ひいてはそれがビジネス継続のリスクに繋がることや、古い基幹システムがビジネス成長のボトルネックとなっていることなどを考慮すれば、延命だけすればよいというものではありません。そこで同社は検討の結果、2023~2025年度の中期経営計画で掲げる「将来に向けた成長投資」の一環として、「将来のビジネス成長におけるフレキシビリティ及びスケーラビリティの確保」を目的に、2023年より基幹システムの最新化(「SAP S/4HANA」への移行)に着手することを決定しました。

「経営視点でいうと、新しいシステム(テクノロジー)が使えないことで、全社的な将来の計画が立てられないというのが一番の課題でした。一方、現場では今ある業務上の課題の解決を要望しており、それぞれ求めていたものは違っていたのですが、システムを変えることで将来に備えた布石を打つことが必要と考えました」(井手氏)

日程の要望に唯一「できます」と応えたBeeXをパートナーに選定
クラウドリフトでの実績に加え、定評あるサポートを評価

ローランドは、SAP S/4HANAへの移行プロジェクトについて、複数社を候補にパートナーを検討。最終的にBeeXが選ばれました。その理由について、IT本部情報システム部 部長の藤原了英氏は「2022年に基幹システムのハードウェアのリプレースを行った際、クラウドリフトを検討したこともあり、BeeX社がこの分野で豊富な実績を持っていることは知っていました。今回のプロジェクトでは、各候補に当社の希望日程に合わせたリソースの確保ができるかどうか尋ねたところ、既存ベンダーも含めてNGという回答が多かった中、唯一、『できます』と明確に約束してくれたのがBeeX社で、これが採用の決め手になりました。また、導入から保守まで長く付き合いたいと考えていたので、サポートに定評のある点も評価のポイントとなりました」と説明します。

ちなみに、売上の9割を海外が占める同社では、製造拠点のマレーシアでもSAP ERPをワンインスタンスで利用しています。そこでBeeXは、グローバルでの運用・保守をカバーするため、海外にも強いNTTデータグローバルソリューションズ(以下、NTTデータGSL)とタッグを組むことで、万全の体制を整えました。なお今回は、SAP S/4HANAへの移行と並行して、以前より利用してきたBIツール「SAP BW」を「Microsoft Power BI」へ切り替えるプロジェクトも実施しています。その目的について井手氏は「当社ではSAP BWをはじめ複数のBIツールが導入され、レポート作成などに使われていました。そのためデータソースがバラバラで、共有や活用が難しく、コスト的にも非効率でした。

こうした状況を解消すべくBeeX社に相談したところ、SAP BWを『Office 365』の全社導入を機に社内の主軸ツールの一つになっていたPower BIに切り替えることで、統合的なデータ管理や活用を実現するという提案を受けたのです」と説明します。


   

基幹システム最新化、クラウドリフト、BIツール切り替えをトラブルなく完了
コミュニケーションを密にとることで齟齬のない進行を実現

ローランドは、2022年末からSAP S/4HANA移行についてアセスメントを実施し、利用開始日を2024年11月21日に決定。2023年より切り替えの作業に着手しました。なお、この日をターゲットとしたのは、経営陣に今回の投資への理解を得るため、「なるべく早く、確実に」をコミットする必要があったからと言います。
「プロジェクトが2年を超えるとメンバーが疲弊しますし、逆に1年では不可能ですから、現実的な目標として、会計年度末(12月)の前にカットオーバーを実現し、本番環境で一通りのチェックをした上で次年度を迎えるのがベストと判断しました」(井手氏)

今回のプロジェクトでは、①SAP S/4HANAへの移行、②その周辺システムも含めたクラウド環境(Microsoft Azure)への移行(クラウドリフト)、③Power BIへの移行によるデータ統合と、大きく3つの柱があります。人員については、社内の各部署からキーマン40名を選抜し、BeeX、NTTデータGSLの両社と合わせて常時100名、ピークのユーザーテスト時には最大200名強の体制で臨みました。

作業は原則フルリモートで実施しましたが、コミュニケーションを密に、進捗状況や発生した課題をできるだけ数値化することで可視化。経営陣を含めてメンバー全員が共通の認識を持てるようにすることで齟齬のない進行を実現しています。また、本番移行までに2回のリハーサルを実施。その際に発生したトラブルに対応するための手順書を準備するなどして、本番時のリスクを可能な限り排除できる体制を整え、スケジュール通りにプロジェクトを完了させました。

基幹システムの最新化により、自由な施策立案が可能に
ビジネスの新たな展開、成長への貢献に期待が高まる

予定通りのスケジュール、想定内に収まったコスト、安定した稼働と、理想的なかたちで完了した今回のプロジェクトを振り返り、井手氏は次のように成功要因を語ります。

「ベンダー、メンバー、導入手法が最適だったことに加え、現実的な計画を立て、それを経営層にも理解してもらったことが大きなポイントでした」

基幹システムの更新においては、ともすれば計画が理想に過ぎたり、無理をしたりしがちです。しかし今回のプロジェクトでは、ストレートコンバージョンを基本に、機能の改善は移行後に回し、最低限の機能改修のみを行うという方針を最後まで貫徹したことで、リスクを極力排除した進行が可能になりました。

「プロジェクトを通じ、SAP ERPに関する知識やノウハウをキャッチアップ、蓄積できたことは大きな成果です。これは今後、SAP ERPと連携する業務システムの置き換えや、その後のDX推進の面で大いに役立つと考えています」(井手氏)

ローランドでは、2026年度よりスタートする次の中期経営計画に向けた取り組みを進めていく予定ですが、その施策の立案に当たって、古い基幹システムという制約がなくなることは、ビジネスの成長に大きな貢献をもたらすと考えられます。

「今後はSaaSとの連携も容易になると思われますので、より多くのビジネスシーンでの活用が進むでしょう。次の中期経営計画では、さまざまなシステムやサービスとの連携による新たなビジネス展開が盛り込まれていくと思います」(藤原氏)

なお、今回のPower BI移行においては、SAP BWでリリースしていた約300本のレポートの棚卸も実施。移行対象を約1割まで削減しています。

基幹システムと連携するシステムのDX化を推進
BeeXにはAzureに関する経験やノウハウをもとにした支援を期待

今後についてローランドでは、これまでDX化が遅れていた基幹システムと連携する業務システム・周辺システムについて、ビジネスの優先度に応じてDX化を推進していく方針です。このうち、需給調整システムは既に稼働を開始しており、サプライチェーン全体を一元管理し、販売・生産・調達といった一連の意思決定を経営的視点で行うことが可能になると期待されています。

最後に、今回のプロジェクトにおけるBeeXの支援について、井手氏は「当社はAzureに関する知見が少なかったことから、BeeX社の適切な知見と情報提供に助けられました」と述べ、藤原氏も「移行に際し、想定外の障害等にも責任をもって最後までご対応いただいたことには強く感謝しています。当社にはまだオンプレミスのシステムが残っており、今後はクラウドリフトが必要と考えています。Azureに関する知識、他社での経験やノウハウに基づくサポートをこれからも期待しています」と語っていただきました。

インタビューにご協力いただいた方々

  • IT本部長 CIO
    井手 尚幸 氏
  • IT本部 情報システム部 部長
    藤原 了英 氏

ローランド株式会社

1972年設立の電子楽器メーカー。その歴史においては、世界初のタッチセンス付き電子ピアノや国産初の大型システム・シンセサイザーなど、画期的な製品を数多く生み出し、国内外のアーティストから愛用されてきました。中でも、ダンスミュージックの進化に貢献したプログラマブル・リズムマシン「T R - 8 0 8」はその功績が認められ、国立科学博物館の「未来技術遺産」に登録されています。 創業当初より、海外市場を主なターゲットとして開発・販売に注力しており、売上高は全体の約90%に及んでいます。

SAP は、ドイツおよびその他の国々におけるSAP SEの登録商標です。

その他記載されている、会社名、製品名、ロゴなどは、各社の登録商標または商標です。

記載されている企業名および担当者の情報は取材当時のものです。

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