[re:Invent 2022 レポート] Eli Lilly 社は SAP 移行と運用をどのようにしているのか

この記事を書いたメンバー:

那須 隆

[re:Invent 2022 レポート] Eli Lilly 社は SAP 移行と運用をどのようにしているのか

目次

こんにちは、那須です。re:Invent 2022 の予定もすべて終了し、帰国の経由地のホノルルでこれを書いています(観光するには時間が足りませんでした)

前回の MES アーキテクチャのセッションに引き続き、今回は SAP システムのクラウド移行とその後の運用についての事例を聞いてきましたので共有します。日本の SAP システムのクラウド移行や運用の案件ではここまで AWS サービスを使い倒した例は聞いたことがないので、個人的にはかなり面白いセッションでした。帰国後はこの事例を参考にさらに進化した形でお客様へのご提案や運用業務に関わっていければと思います。


参加セッション

ENT327: Automate compliance for mission-critical SAP workloads like Eli Lilly

セッション紹介

Eli Lilly and Company is modernizing their global supply chain, manufacturing, and finance operations by moving on-premises SAP systems to SAP S/4HANA on AWS. Operating in the highly regulated life sciences industry, Lilly sought to use native services and automation to build quality and compliance into the foundation of their solution. In this session, learn how to use AWS services to automate configuration and deployment for SAP workloads across your CI/CD pipeline, IaC code branching strategy, and day-to-day operations in compliance with stringent regulatory requirements.

セッション紹介(DeepL による翻訳)

Eli Lilly and Companyは、オンプレミスのSAPシステムをSAP S/4HANA on AWSに移行することで、グローバルなサプライチェーン、製造、財務業務の近代化を進めています。規制の厳しいライフサイエンス業界で事業を展開するLilly社は、ネイティブサービスと自動化を利用して、品質とコンプライアンスをソリューションの基盤に組み込もうとしました。このセッションでは、厳しい規制要件に準拠し、CI/CDパイプライン、IaCコードブランチ戦略、および日常業務にわたってSAPワークロードの構成と展開を自動化するためにAWSサービスを使用する方法について学びます。


概要

アジェンダはこのような流れです。どういう計画でどのように実装して今後どうしていくのかというお話が聞けました。


会社紹介です。ちなみに会社名はイーライリリーと読みます。このセッションを聞くまではエリリリーと読んでました。


どのように S/4HANA on AWS に移行していくのか、移行後の成果として何を期待されるのかが明確になっていますね。結果として、数週間かかるような作業もすべて2時間以内に完了できるようになっているそうです。本当に素晴らしいです!


移行にあたって重要視するポイントがこちらです。どれも大事ですね。優先度をつけて順次やっていくのではなく、全部大事なのでどれ一つ取りこぼすことなく運用しようとしていることに感銘を受けました。


Eli Lilly では SAP deployment framework (SDF) というものを定義して CI/CD を組んでいました。これがまたすごいんです。ざっくり書くと、新規作成や変更内容を csv ファイルで GitHub に入れると CodePipiline の中でインフラの作成や変更が実行され、続いて SAP システムに対して作成や変更が実行され、最後に Step Functions や DynamoDB などで状態管理が行われます。ポイントは AWS 環境だけではなくて SAP システムも CI/CD の対象に含めていることです。例えば SAP システムの開発機がしばらく使われないことを示すフラグのようなものをセットすると、対象の SAP システムが無効化されるようにもできています。フラグ一つで SAP システムそのものの有効/無効を切り替えられるようになっているのはシンプルですがなかなかできないので、本当にすごいです。

具体的にはこのような流れです。詳細は省きますが、GitHub に csv ファイルや設定ファイルを push するだけで CodePipeline に流れてすべての作業が自動的に行われます。

細かい作業などは Lambda もうまく使っているようですね。ここまでが環境のパイプラインです。


ここから SAP システムのオーケストレーションです。Step Functions でうまく流れを作っています。環境のチェックがあったり、SAP インストールが必要ならインストールするし、といった形で手作業が入る余地がありません。パラメータも DynamoDBにすべて入っているので、わざわざパラメータを指定する必要もないようになっています。

このようなフローで HANA の HA も構成されていきます。


Git のブランチ戦略はこのような形です。よくある git-flow がベースになっていますが、main ブランチからいきなり SAP 環境にデプロイされるわけではなく、そこから各環境ごとのブランチに分かれてデプロイされていきます。私はあまりこのようなブランチの分けかたはしたことないですが、テストまで終わってるものをデプロイするからいきなり開発機が使えなくなったりすることがほぼなくなるのでこれはいいと思いました。


運用についても簡単にですが触れられました。詳細の話はありませんでしたが、バックアップや起動停止、パスワードローテーション、Observability が本番運用開始までには実装されるようです。

今後の予定もこのように計画されています。Go-Live まであと1年と少しありますが、その時には素晴らしい運用の事例になっていることを祈るばかりです。72時間以内の Go-Live 作業とのことなので、規模的には大変そうです。


最後に AWS から SAP に関連する最新情報の共有がありました。新しいインスタンスタイプがあったり、AppFlow でデータのやり取りができるようになっていたり、ABAP 向けの SDK がリリースされていたり、SSM Automation で HANA のバックアップができるようになっていたり、NetWeaver 向けの Observability が提供されていたりと、アップデートが盛りだくさんです!


さいごに

今回はグローバルでの SAP システムの移行や運用についての事例を聞きました。日本でお客様の SAP 移行や運用の中身を見ると数年前から大きく変わってる感じはしないですが、グローバルの先進的な取り組みをされている企業ではとんでもない仕組みの使いこなしをしていました。日本でもこのくらいスマートに自動化したりして様々な業務のスピードを上げることで、お客様のビジネス成長に貢献できるようになるといいなと思ってこの記事を書きました。そのためにも常にベストなやり方を考え続けていきたいと思います。

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