AGC株式会社

AWS

“攻めのIT”を推進するためAWSを用いてグループ共通の統合インフラ基盤を構築

業種
製造
従業員数
1000人以上

“攻めのIT”を推進するためAWSを用いてグループ共通の統合インフラ基盤を構築

世界屈指のガラスメーカーであるAGC株式会社(以下、AGC)は基幹システムのインフラ基盤としてアマゾン ウェブ サービス(AWS)を全面的に採用。同社はBeeXをパートナーにAWSを基幹システムで利用するための共通クラウドインフラ基盤(Alchemy)を構築し、各種システムのAWS化が現在進行形で進められています。AGCグループは2020年までに基幹システムのクラウド化を完了させる計画で、クラウド化により“ハードウェアコストの大幅削減”と“インフラの運用効率を劇的に高めること”を実現できると考えています。さらにAGCグループでは、このプロジェクトで培ったクラウド技術を武器に“攻めのIT”を推進していくとのことです。


課題
  • 定期的にハードウェアの更新作業が発生する
  • ハードウェアの調達時間がプロジェクトのスピード感にフィットしない
  • システム構築の都度インフラ構成を検討しているので検討工数が重複してかかっている
解決したこと
  • インフラ構成にまで踏み込んだ標準化をすることで、アーキテクチャのデザインをパターン化する
  • インフラをIaaS化することで、ハードウェアの更新作業をゼロ化する
  • クラウドを使うことで、オンデマンドでサーバーの調達ができるようにする

AWS環境移行時の舞台裏を動画でご紹介


なるべく手間なくAWS化できるよう汎用化してカタログに

パフォーマンス、セキュリティ、ガバナンスの3点を検証しSAP ERPのインフラにAWSを採用

1907年の創立以来、ガラスを軸とする総合素材メーカーとして人々の暮らしを支えてきたAGC。現在では、世界トップクラスのシェアを誇る建築用/自動車用のガラス事業に加え、液晶ディスプレイ向けガラスや電子部材、フッ素や医農薬品などの化学品などさまざまな分野で事業を展開しています。2015年にはAGCグループの新たな経営方針「AGC plus」の中で、「マーケット視点と多様性を活かした売上の拡大」と「メリハリある経営資源配分による資産効率の向上」の2つの施策を打ち出しました。その後、「AGC plus」に則った中期経営計画「AGC plus-2017」を策定。2017年度の売上高1兆6,000億円、営業利益1,000億円以上、ROE5%以上等の目標を掲げて事業を推進しています。AGCでは板ガラス事業の販売・物流系の基幹システムをメインフレームからSAP ERPへと脱ホストするプロジェクトを2013年より進めてきました。次期システムのインフラとしてAWSを採用したいきさつについて情報システム部 電子・基盤技術グループ 主幹の大木浩司氏は当時をこう語ります。「AWSを採用するまではほとんどのシステムを自前のデータセンターで運用していました。オンプレミスの場合5年ごとにハードウェアの更新があるので、その対応に膨大なコストと時間が必要になります。さらにオンプレミスではコスト的に十分なBCP対策を講じることができないという問題もありました。インフラをクラウド化すれば、これらの課題をクリアすることができます。また、AWSに代表される各種クラウドサービスは継続的に価格改定を続けていましたので、長期的なコストダウンも期待できると踏みました。これらの点を勘案し、我々はクラウド化へと舵を切ったのです」

SAP ERPのような大規模なシステムをAWS上に構築して運用することについては、当初パフォーマンス、セキュリティ、ガバナンスの面で不安がありました。そこでAGCではまずパフォーマンス上の懸念を解消するために、AWS上に検証環境を構築し3カ月程度の事前検証を実施することから始めました。さらにセキュリティ・ガバナンスについても平行して社内調査を進める期間を設けたといいます。
最終的にAWSを選択した理由について、情報システム部 グローバルIT企画グループ プロフェッショナルの三堀眞美氏は次のように語ります。「法律や内部統制の観点からいうと、データセンターが国内にあることが第1の要件でした。第2が社内環境と専用線で接続できてネットワークの安全性が確保できること。第3は監査法人のチェックを受けており、かつそのレポートがユーザーに提供されることでしたが、2014年時点でそれらを満たすクラウドはAWS以外にありませんでした」

AWSに関する卓越した技術力と情報収集力、経験に基づいた効果的な対応を評価

新システムの構築プロジェクトは2014年9月より本格化し2016年5月にサービスインしました。プロジェクトを長期にわたってコンサルティングしたBeeXを、情報システム部グローバルIT企画グループ 主席の浅沼勉氏は次のように評価します。
「BeeX社メンバのAWSに関する経験値と情報収集力および技術力は卓越したものがありました。彼らはAWSが推奨する構成をそのまま提案するのではなく、その他の可能性も検討し、非推奨の構成を採用した場合に想定される問題とその対処法まで踏み込んだ提案を我々に対ししてくれました。また、日を追って機能が追加されていくAWSの最新情報を絶えずキャッチアップしているので、こちらの質問に瞬時に的確な回答が返ってくるのはありがたかったですね」

AGCでは新システムの構築と同時期に、BeeXの協力のもと、SAP ERP、SAP BusinessObjectsで構成されている既存の業績管理システムを5か月間でAWS環境に移すというプロジェクトにもチャレンジしています。大木氏は「AWSのVM Import/Exportという機能を使うことで、オンプレミス環境にある仮想マシンのイメージを、そのままAmazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2) に移行しました。アプリケーションの追加開発の必要もなく、プロジェクトはスムーズに終わりました」と当時を振り返ります。AGCでは今後もオンプレミス環境で稼働している基幹システム群を順次AWSへと移行する計画となっています。

堅牢性と俊敏性を兼ね備えた共通クラウドインフラ基盤を構築

Alchemyでは、AGCグループが持つ多様なシステムがスムーズにクラウド環境へと移行できるよう、社内での課金スキームやバックアップの取得方法、HA(高可用性)のレベルなど、ユーザー視点で必要なインフラ項目を標準化・サービス化しています。また、AGCの事業部やグループ企業の各システム担当者が標準基盤の詳細を簡単に参照できるよう、それらをカタログとしてまとめています。
「これまではシステム開発の度にインフラ構成を毎回検討してきましたので、かなりの手間がかかっていました。Alchemyでは要求される可用性のレベルを定義し、それぞれのレベルに応じてAWS上で実装する場合のインフラ構成をパターン化しています。そのためAWSに詳しくない担当者でも、要件に応じて最適な構成が最短で選べる仕組みとなっています」(浅沼氏)
「Alchemy」のサービスカタログはAWSにインスタンスやオプションが追加されるたびに改訂され、サービス内容もユーザーが常に最新のAWS環境が利用できるよう随時ブラッシュアップされています。ここでのBeeXの役割について浅沼氏は「彼らは単に取り決めた作業内容をこなすだけでなく、AWSを利用する際に落とし穴になりやすいオプション関連の部分についても、そのポイントをアドバイスいただいています。おかげさまで、次々と新しい機能が追加されるAWSにおいても、常に最適化された運用を実現しています」と述べています。

Alchemyという標準を作り上げ社内展開。標準文書の作成に留まらないサービスである点が特徴。

~アルケミー~AGCグループ クラウド型 データセンターサービス

すぐ作れる・いつでも消せる・安全安心 AGC社内向け プライベートクラウドサービス

  1. 基幹に超特化したAWS環境
    1. 使えるサービスを限定
    2. インスタンス構成・バックアップ処理等を完全パターン化
    3. 各種標準を文書化するとともに実装まで実施
  2. AWS関連の作業をサービス化
    1. AWSの操作は(ほぼ)すべて標準化チームのみが行う
    2. インスタンスの作成すら申請制
    3. 最低限のAWS操作のために中間サーバを提供(AWSは完全隠ぺい化)
  3. 利用料の支払いスキーム
    1. 利用部門ごとにAWSアカウントを作らなくてもよい
    2. 各部門の利用量に応じて請求書(円建て)が発行される仕組みをビジネスパートナーと協力して構築

順調に進むAWSへの乗り換え HAのサービスレベルはユーザー自身で判断

Alchemyは2016年2月に公開されましたが、AGCはそれに先駆け社内向けに説明会を実施。システムのクラウド化を推し進めるべく、グループ企業にAWSの活用を呼びかけました。現在本社のみならず、グループ会社においてもクラウドの利用が進んでおり、すでに数十のシステムがAWS上で稼働しています。
通常システムでは要求される可用性レベルに応じてインフラの構成を検討する必要がありますが、「Alchemy」は求められるHAのレベルに応じてインフラのデザインパターンが選択できるように作られています。事業部やグループ企業のシステム担当者は求められるサービスレベルとコストのバランスを考慮しながら構成を選択しているといいます。「1秒も止まらないシステムを作ることがどれほど困難かはみな承知していますので、HAのサービスレベルを透明化し障害の定義や復旧時間を明確に提示。その上でユーザー自身に判断してもらっています」(大木氏)
また、ユーザーへの請求書発行業務もBeeXにアウトソーシングし、業務面の負荷も軽減しています。この点について浅沼氏は「普通の会社なら請求を代行するだけで終わりですが、リソースの消費量が急激に増えたときなどは、それが計画されたものかどうかの確認等、あらかじめ情報を伝えてくれます。こうしたきめ細かい配慮はありがたいですね」と語ります。

ハードウェアにかかるコストを大幅に削減 調達のリードタイムも短縮

今回のAWSの導入により、AGCは大幅なコスト削減の効果を得ることができました。同社はSAP ERPの導入の際、ハードウェアにかかるコストをオンプレミスと比較して5年間で20%削減することを目標にしていましたが、実際に半年ほど運用してみたところ、約40%の削減と倍の数字が実現する見込みです。これに運用の工数やデータセンターの利用費、電源などファシリティ関連のコストまで含めると、効果はさらに大きくなります。
また運用の手間が減ったことで、本来やりたい業務に注力できるようになったというのは特筆すべき点だといいます。インフラ設計にまつわる工数削減の効果も大きく、必要なときに必要なだけサーバーが追加できるようになったため、設計の負荷が軽減されました。その具体的なメリットについて情報システム部電子・基盤技術グループ リーダー大橋数也氏は「自由度の高いAWSなら、CPUやメモリー、ストレージなどのリソースを後から簡単に増やすことができるので、サイジングにかかる時間も短く、調達のリードタイムがかなり短縮されました。SAP ERPを例に挙げると、従来は開発機と検証機を先行して構築し、後から本番機を構築するため、開発機・検証機と本番機でハードウェアのライフサイクルに差が生じてしまっていました。しかしAWSであれば、サーバー調達の時間差に起因するライフサイクルの問題を考える必要がないので、本当に必要なタイミングで開発機・検証機を立ち上げ、不要になったらすぐに止めることができるようになりました」と強調し、また伊藤氏も「バイモーダルITを実現するうえで、やってみてダメならいつでもストップできるAWSのメリットは大きいですね。これならインフラがシステム開発の足かせにならないため、スピード感を持ってプロジェクトを立ち上げることができます」と述べています。

2020年までにほとんどのシステムをクラウドへと移行併せてAWSの機能もアップデート

AGCでは、今後もシステムの更新に合わせて基幹システム群を随時Alchemyへと移行していく計画です。
また、AWSの進化と社内の利用促進に応えるべく、「Alchemy」自体の機能強化も継続的に進めていく予定です。これについて浅沼氏は「今後ユーザーが増えていけば、ログを分析してトラブルなどの原因を探る機会が増えると予想されます。そのときに備え、AWSの各種ログを分析するための監査基盤を現在構築しています」と語ります。
さらには、AGCグループ内で基礎研究、開発、学術計算を行っている研究部門からの要望に応えるため、ビッグデータの分析を行うための機械学習や、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)を用いた大量データ分析などにも、AWS活用することを検討中とのことです。
2014年からAWSへの取り組みを始めた同社ですが、最初はわからないことばかりだったといいます。それでもBeeXに質問したり、自分でAWSのコンソールを触ったりしながら、徐々に理解を深め、課題を解決してきました。大橋氏は「AWSで得られるビジネスメリットは大きいと実感しています。難しいことはパートナーと組むことで解消されますので、まずはチャレンジしてみることが大切だと思います」とAWSを検討中の企業にエールを送りました。
最後に、SAP ERPの導入から一貫して支援を続けてきたBeeXに対しての感想をうかがったところ、その実力を高く評価しているとのお答えを頂きました。浅沼氏は「BeeXの出資元である大型のクラウドビジネスを手がけるテラスカイと、AWSに特化したインテグレーション事業を展開するサーバーワークスとのグループシナジー効果にも期待しています」と今後の希望を語ってくれました。

“攻めのIT”への変革を目指すすべての企業において、AGCによるAWSを活用した統合インフラ基盤「Alchemy」の実現は、大いに参考となる事例といえそうです。


インタビューにご協力いただいた方々

  • 情報システム部 電子・基盤技術グループ 主幹
    大木 浩司 氏
  • 情報システム部 グローバルIT企画グループ プロフェッショナル(IT基盤、IT運用技術)
    三堀 眞美 氏
  • 情報システム部 グローバルIT企画グループ 主席
    浅沼 勉 氏
  • グローバルITリーダー 情報システム部長
    伊藤 肇 氏
  • 情報システム部 電子・基盤技術グループ リーダー
    大橋 数也 氏

AGC株式会社

1907年に岩崎俊彌が設立。1909年には日本で初めて板ガラスの製造に成功しました。以来、AGCグループとしてガラス、電子、化学品、セラミックスなどの分野で技術とノウハウを蓄積し、建材や自動車、エレクトロニクスなど産業界へ幅広くソリューションを提供しています。1950年代にはインドへ進出。その後アジア、欧米、南米へ事業を展開し、現在では世界各地の従業員が各国の経済・社会の発展に貢献しています。近年の実績では、ドイツのミュンヘンにあるサッカー専用スタジアム「アリアンツ・アリーナ」の壁面フィルム、サッカーワールドカップ2014ブラジル大会のガラスルーフベンチ、JR九州のクルーズトレイン「ななつ星in九州」の窓ガラスなどにもAGCグループの製品が使われています。

SAP は、ドイツおよびその他の国々におけるSAP SEの登録商標です。

アマゾン ウェブ サービスおよびAWSは、米国その他の諸国における、Amazon.com, Inc.またはその関連会社の商標です。

その他記載されている、会社名、製品名、ロゴなどは、各社の登録商標または、商標です。

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