導入事例 : 株式会社オートバックスセブン様

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グループ全体が利用するSAPシステムをわずか4ヶ月半でオンプレミスからAWS上へ移行

基幹系システムにクラウドを利用する事例が多数登場している昨今、SAPシステム基盤をオンプレミスからクラウド上へ移行する企業が増えている。クラウド移行は運用コストの削減に加えて、ビジネス規模の拡大に応じてスケールアウト・スケールアップできる柔軟性、さらにはこれまでオンプレミスで必要不可欠となっていたBCP対策の負担軽減など、企業に数多くのメリットをもたらしてくれる。

本稿でとりあげるオートバックスセブンも、課題となっていた運用コストの低減を図るべく、2017年11月にSAPを含む会計システムのクラウド移行を実施。オートバックスグループ全体が利用する会計システムを、約4ヶ月半という短期間でAWS上へ移行することに成功した。

オートバックスセブン様のSAPに関する課題
ハードウェア保守の更新期限が迫っていた
運用コストの削減が求められていた
クラウドに関する深い知識や技術がなかった
オートバックスセブン様のAWSによる解決
AWSへの移行によりハードウェアの更新や運用から解放された
他システムの移行も含めて約3割の運用コスト削減効果の見込み
AWSとSAPに精通したスペシャリストの支援により、スムーズに移行を完了した

迫り来るハードウェアの保守期限と運用コストの削減という課題

「クルマのことならオートバックス」をキーワードに、600店舗以上ものオートバックスチェーンを全国に展開しているオートバックスセブン。その事業領域は幅広く、グループ店舗のフランチャイズ本部としてカー用品の卸売および小売、車検・整備、車両買取・販売、板金・塗装などまで手掛けている。

そんな同社では、これまで業界に先駆けて積極的なIT投資を実践してきた。1982年には、基幹系システム基盤として自社内のマシンルームにメインフレームを採用。2005年にSAPを導入してからも、オンプレミス環境で自社ビジネスの成長にあわせて最適な機能アップを図り続けていた。

しかし、ここで同社の会計システムにいくつかの課題が浮上する。そのころの状況について、オートバックスセブン IT戦略部の五孝 明氏は次のように語る。

「まず大前提として、ハードウェア保守の更新期限が迫っていたことが挙げられます。そしてもうひとつ、チェーン全体の運用コスト削減が求められていたのも課題でした。オンプレミス環境の場合、自社でデータセンターを保有する必要がありますし、ハードウェアだけでなくソフトウェアのバーションアップなどにも多くのコストがかかります。これまでと同じシステム構成のままでは、運用コストの削減に限界があるわけです。そんな中、思い切ってオンプレミス環境からクラウド環境へ移行しよう、という案が出てきました」

五孝 明 氏
オートバックスセブン IT戦略部 五孝 明 氏

こうして同社では、2002年にオートバックスセブンの情報システム部門が独立し、現在オートバックスグループ全体のシステム開発・運営・保守を手掛けているABシステムソリューションとともに、2017年4月よりオンプレミスとクラウドでの運用コスト比較などを実施。現在使用しているオンプレミスのシステムをすべてクラウド環境へ移行することで、監視体制の統合等も含めて最終的に約3割の運用コスト削減効果が得られると判断した。

「クラウドがBCP対策として有効なのも魅力のひとつです。従来のオンプレミス環境では、万が一の事態に備えて冗長化やバックアップなどの手当が必要不可欠でした。しかし、クラウド環境の場合は、予め標準機能として組み込まれており、かつクラウドベンダー側で十分なバックアップ体制を築いているので、システム、運用とも簡素化された分だけコストが削減できます」(五孝氏)

こうして同社では、会計システムをクラウド環境へ移行するための具体的な検討がスタートしたのである。

システム移行のために厳選したAWSとSAPのスペシャリスト

会計システムのクラウド移行を検討するにあたり、不安材料のひとつとなったのがクラウドに関する知識や技術の不足だ。

「これまでの運用実績として、オンプレミス環境におけるシステムの知識や技術は十分にあったのですが、クラウドとなると話が変わってきます。そこでまずは、クラウド移行を行ううえでどのような技術が必要になってくるのか、SaaS/PaaS/IaaSのどれを選択するべきなのか、などを社内で議論しました」(五孝氏)

こうした議論の結果、クラウド基盤に「AWS(Amazon Web Services)」を使用する、現在利用中のSAPもそのままクラウド環境へ移行する、といった方針が決まったという。また、自社内で不足しているクラウドの知識や技術を補うべく、インテグレーターの選定も進められた。

「インテグレーターを選ぶ際の基準として、まずAWSのことを詳細まで十分に理解していることが前提条件となります。それでいて、移行対象に含まれるSAP関連の知識や技術にも長けていなければなりません。こうした条件で絞り込んでいった結果、弊社にとってテラスカイとBeeXがベストパートナーだと判断しました。テラスカイは、AWSの導入について数多くの実績がありますし、グループ会社のBeeXはSAPシステムのクラウド移行やSAP製品のソフトウェア基盤に関するスペシャリストです。弊社にとって、まさにこれ以上ないほど心強い組み合わせといえるでしょう」(五孝氏)

こうして同社は2017年7月より、SAPを含む会計システムのAWS移行作業をスタートした。

「AWS Snowball」で課題を解決! ダウンタイムはわずか1日程度

しかし、移行作業に伴う事前調査の段階で、またひとつ大きな課題が明らかとなった。データ移行に使う回線の通信速度が要件を満たさなかったのだ。この点について、ABシステムソリューション 第2ソリューション部の海野 善彦氏は次のように語る。

「データ移行用に使える回線が非常に細く、そのままでは単純なデータコピーだけで2ヶ月もの期間を要してしまう状態でした。しかし回線を太くするためには、調達期間とコストが必要になってしまいます。この課題に対してご提案いただいたのが、当時まだプレビュー段階だった『AWS Snowball』です」

ABシステムソリューション 第2ソリューション部 海野 善彦 氏

AWS Snowballは、専用ストレージアプライアンスを用いることで、ペタバイト級の大規模データを高速にAWS上へ移行できるデータ転送ソリューションだ。今回の場合はAWS Snowballによるオフライン大量データ転送に加えて、複数の手法を組み合わせることで、移行時に必要なシステム停止時間を極小化している。具体的には、まずCloudEndure社が提供するライブマイグレーションツール「CloudEndure」を使って、クラウド上の仮想マシンに複製(リアルタイム差分同期)。データベース・サーバ等の大量データはAWS Snowballを使ってAWS上に一旦コピーした後、さらに差分データを随時コピーする。SAP本番環境においては、SAPシステムコピー実施後、稼働中の現行本番機のデータベース・トランザクション・ログを移行先に随時適用し続けることで、現行本番機を停止することなく、切り替え直前までのデータを反映した。このように適材適所で効果的な手法を組み合わせた結果、回線はそのままで、多くのシステムを短期間かつスムーズな移行が実現できたのである。

AWS Snowball アプライアンス
AWS Snowball アプライアンス

また、SAPの移行に関する部分では、BeeXによるサポートが絶大な効果を上げたという。ABシステムソリューション 第2ソリューション部の福満 登志行氏は、こう振り返る。

「SAPに関するBeeXの知識量や技術力には目を見張るものがありました。弊社のシステムには、日本での利用実績が少ないモジュールも使われていたのですが、詳細について説明しなくても着々と作業が進んでいくことに驚きましたね。それどころか、クラウド移行に際して必要となるファイルパスの置き換えや直し方などの提案、注意が必要なポイントなどまできめ細かく教えていただけました。また、長期にわたる使用と度重なる改善を行ってきた経緯から、現在の業務には不要なバックアップデータなどが数多く残っており、それらを必要に応じて最適化してもらえたことで検証の工数削減にもつながりました」

ABシステムソリューション 第2ソリューション部 担当部長 福満 登志行 氏

BeeXでは、SAPのシステム自体の移行はもとより、システム移行時の重要課題であったジョブ管理システムの再構築まで担当。こうしたプロアクティブな対応によって、オートバックスセブンでは他システムとの連携などに注力することができたそうだ。

その後の作業は順調に進み、2017年8月末から移行に伴う各種検証作業を開始。10月にリハーサルを終え、11月中旬の週末を利用してシステムの本番移行が行われた。会計システムはオートバックスセブンはもとより、子会社やフランチャイズ加盟法人約100社が利用しているため、もっとも業務への影響が少ないよう、金曜日の定時後にシステムをシャットダウン。土曜日に移行作業を行い、日曜日はトラブル発生時の予備日に充てられた。

「弊社の経験上からも、システム移行にはトラブルがつきものと考えていましたし、それがオンプレミスからクラウドとなれば尚更のことです。しかし実際には、日曜日の朝の段階で移行作業がすべて完了。店舗でも業務への支障はありませんでした。実質的なダウンタイムはわずか1日程度と、あまりにスムーズすぎて驚きましたね」(五孝氏)

オートバックスセブンとABシステムソリューションが行った
移行完了後のシステム概要図

オートバックスセブン様システム構成

心強いパートナーと共にAWSのさらなる活用を目指す

こうしてオートバックスセブンでは、グループ全体に関わる会計システムのクラウド移行を実現した。そして2018年1月には物流システムのクラウド移行も完了し、運用体制の統合等の施策も含め、当初の目標である運営コスト3割削減に向けて邁進している。

「会計システムに関しては、繁忙期における監視の閾値調整などを含めて、実務の中で効果測定を行っていく予定です。また、中長期的にはAWS上でSAPをさらに活用できるよう、社内でも知識や技術を高めていきたいですね。そうした点で、BeeXは非常に心強いパートナーです」(五孝氏)

会計システムをきっかけとして、AWSに対する基幹システムの本格移行を目指すオートバックスセブン。今後も本社業務のみならず、グループ全体の基盤として重要な役割を果たしていくことだろう。

株式会社オートバックスセブン様 会社紹介

設立:1947年2月。主な事業:国内600店舗を超えるオートバックスグループのフランチャイズ本部として、カー用品の卸売および小売、車検・整備、車両買取・販売、板金・塗装などを行っており、お客様に最適なカーライフを提案し、豊かで健全な車社会に貢献する企業を目指しています。

  • SAP は、ドイツおよびその他の国々におけるSAP SEの登録商標です。
  • その他記載されている、会社名、製品名、ロゴなどは、各社の登録商標または、商標です。
  • アマゾン ウェブ サービスおよびAWSは、米国その他の諸国における、Amazon.com, Inc.またはその関連会社の商標です。
  • 記載されている企業名および担当者の情報は取材当時のものです。

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