SAP Cloud ALMとシステム運用監視 1(概要)

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Hiroko

SAP Cloud ALMとシステム運用監視 1(概要)

目次

SAP Cloud ALMとシステム運用監視 1(概要)

このBlogシリーズでは、SAPのALMサービスの一環にあたり、SAP Cloud ALMを利用して、SAP S/4HANAオンプレミスシステムのシステム監視ができないかを模索してみましたので、それについて記述していきます。

SAPによる提供機能には、アプリケーション業務管理寄りのものが多いですが、その中からBeeX的にはシステム監視にも使えそうなものについて試してみました。

Blog本体のシリーズ構成

  1. SAP ALM、SAP Cloud ALM, SAP BTP Cockpitの紹介(当記事)
  2. SAP Cloud ALMとSAP S/4HANAを接続、ヘルス監視を見るまで

当記事の目次

SAP ALMというサービス全体像、その中で特に取り上げたいSAP Cloud ALM、そして、SAP Cloud ALMを使うにあたり必要なSAP BTP Cockpitについて触れていきます。

  • SAP ALM
  • SAP Cloud ALM
  • SAP BTP Cockpit
  • SAP Cloud ALMの利用申し込みと設定
  • 環境と利用料金
  • サービス対象のソリューション

SAP ALM

SAP Cloud ALMは、SAP ALMのサービスに含まれる一つのソリューションです。

SAP ALMとは、SAP Application Lifecycle Managementのことであり、エンドツーエンドのビジネスソリューションの迅速な導入とライフサイクル全体にわたる円滑な運用を実現しています。

下記のものから構成されています。

  • SAP Solution Manager
  • SAP Focused Run
  • SAP Cloud ALM
  • Tricentis Test Automation

SAP Solution Managerは、構成されているコンポーネントより、2027年末12月31日までのサポートといわれることがありますが、SAP Solution Managerは独自のサポートポリシーを持っていますので、サポートが完全になくなるわけではありません。SAP Solution Managerはオンプレミス環境管理として存在しており、SAP Cloud ALMはそれに完全にとってかわる位置づけのサービスではなく、SAP Cloud ALMと共存して使うことも意識されています。

SAP Solution Managerの2028年以降のサポートなどのことは、まだ決定されている状態ではないようですが、オンプレミス環境の運用管理等には、SAP Solution Managerが必須であることには変わりはないようです。

(図:SAP Solution ManagerとSAP Cloud ALMのロードマップと関係)

SAP ALMはクラウド製品ゆえに、常に進化し続けており、各種機能の追加や更新の頻度も頻繁です。詳細に関しては、Q&A ALMの文書を参考にするのが良いでしょう。

SAP Cloud ALM

SAP Cloud ALMは、大きく分けて下記のような分類の機能が提供されています。それらを利用して、SAP製品の導入の際の(SAPスタンダードといわれる)標準的なタスク管理をしたり、日々の運用の際のシステムの状態やよく利用する日次機能やジョブの状態を、グラフィカルで見やすく利用できるようになっています。

  • Implementation: SAP製品導入の際のタスク管理
  • Operations: SAP製品アプリケーション運用管理(リアルユーザ監視、ジョブ監視、ヘルス監視など)

(図:SAP Cloud ALMのIntelligent Enterprise機能概要 SAP Cloud ALM Functional Overviewより)

SAP Cloud ALM for Implementationは、SAP製品の導入プロジェクトのデザイン、構築、テスト、導入といったステップやタスク管理を、クラウド上にて行うことができます。担当者にロールやタスクを付与することにより、導入に必要な標準ステップの進捗管理などをすることができます。また、どのような手法がSAP的ベストプラクティスであるかといったことの理解の手助けにもなります。導入の際の品質管理テストに関するものもあります。

SAP Cloud ALM for Operationは、SAP Cloud ALMユーザが、SAP ERPやSAP S/4HANAといったSAP Business Solutionsのヘルス状態を理解することができます。例えば、ビジネスプロセス、例外監視、ジョブ監視、ユーザやパフォーマンス監視、システム正常化(ヘルス監視)といったものです。

これらの監視プロセスは、対象システムを登録した段階で自動で作成されるため、各自で開発や接続設定などをする必要がありません。また、閾値を超えた異常状態をメール通知するなどの機能も備わっているため、常に画面などで監視している必要がありません。システム状態は、例えばSAP S/4HANAの場合、決まったABAPジョブにより一定周期で実行され、対象システムからSAP Cloud ALMに情報が自動送信されます。それらのデータをもとに、SAP Cloud ALMでグラフなどで状態が表示されるので、システムの負荷やユーザ数の変動を見たり、任意の期間を指定してそれぞれの状態の比較をするといったこともできます。(たとえは四半期などの決算期のシステム負荷を比較するなど)

監視を行うための複数の(SAP製品でない)ツールの、複数の管理アプリやWebサイトを利用することなく、SAP Cloud ALMというサービスのもとで、特にSAPが提供している製品やサービスの状態を一元管理できることが、このサービスを利用することの最大の利点です。

新機能などは、SAPが四半期ごとに動画とPDFにてまとめを発表しています。

注意事項

  • オンプレミスとクラウドのハイブリッド環境がある場合は、SAP Solution ManagerとSAP Cloud ALMの両方を利用することが可能です。
  • オンプレミス環境から、Cloud環境へのマイグレーションに、SAP Cloud ALMを利用することは可能です。
  • ALM環境を、カスタマイズ開発して使用することはできません。
  • SAP Solution ManagerとSAP Cloud ALMは、異なる戦略の元で作られた製品であることから、統合するという計画は今のところありません。


SAP BTP Cockpit

SAP Cloud ALMの機能を利用して対象システムの状態を把握する初期設定は、SAP BTP Cockpitを経由して利用します。
SAP BTP Cockpitは、利用したいサービスサブスクリプションを購入/登録をし、各種設定を行っていきます。

初期設定に関しては、SAP BTP Cockpitをから行っているSAP公式文書やYouTube動画が多数存在します。あくまで、サービスの申し込みと初期設定のものであり、実際の運用の際の利用形態のような、サービス登録管理者と、サービス利用/ユーザ管理者といった概念のもので提示されているものではないので注意が必要でしょう。

SAP Japan提供の公式Blogにも、製品説明や設定登録に関する説明がされているBlogが存在していたので、参考に設定をしてみました。その中の参考先として記載されていたリンク先が、残念ながら存在しなかったりしていたため、最新情報は、英語Blog、SAPヘルプ、SAP Note、SAPサポート、YouTube公式チャンネルの動画などを参考にされるとよいと思います。

SAP Cloud ALMの利用申し込みと設定

SAP BTP Cockpitを利用してSAP S/4HANAオンプレミスのシステム状態を監視できるようにするには、SAP Cloud ALMの評価版ではなく、製品版を申し込む必要があります。それは、評価版や試用版では利用できない機能であったからです。

SAP Cloud ALMの申し込みをする担当者は、SAP S-User IDに必須権限が付与されている必要があります。申し込み前に、必要十分な権限が付与されているのかの確認をしてください。

SAP S/4HANAとの接続するにあたり、SAP S/4HANAの各種環境を見直し、必要に応じて最新にしておく必要がるようです。そのあたりの確認に時間を要し、設定完了までに苦労しました。このあたりについては、次回の内容で少し触れます。

接続するSAPシステム(オンプレミス)には、必須条件があり、特にSAP ST-PIに関しては、接続するシステムのSPレベルにより、事前に適用するSAP Noteが異なります。各種公式Blog記載の記事は、その当時の最新状態での記述であり、閲覧する際の最新状態ではないことから、作業対象環境のバージョンに合わせたSAP Note適用などの各種設定や準備が必要となります。SAP ST-PIに関しては、接続しているSAP Solution Managerとの関連性も出てくるので、その際は、関連製品一連の確認と設定が必要かもしれません。

環境と利用料金

SAP Cloud ALMは、SAP Enterprise Supportによるクラウドサブスクリプションに含まれています。
標準仕様のリソースは下記のとおりです。

  • SAP HANA Memory 8GB
  • API の使用: 1 カ月あたり 8 GB の送信データ転送
  • SAP でのクラウドオペレーション
  • 管理および監視

SAP Cloud ALMを利用していくと、接続したシステムなどにより、各種データが蓄積されていきます。またそれらのシステムとの疎通により発生するデータ通信が存在します。
外部連携やAPI、開発したものなどと、それに伴うデータ転送量が、上記をの標準利用量を超える場合に、追加料金が発生します。発生したときに発生した分だけ、パッケージ単位での課金となるため、超えた時だけ支払いが発生します。その際の支払いのために、利用申し込みの際にクレジットカードの情報登録が必要となっています。

どの様な時に、標準使用量を超えるのか、参考になる記載があったので、下記に記述します。下記の内容の要件を満たす環境の場合、平均使用量を超える拡張SAP Cloud ALMの使用が発生することがあるようです。

  • SAP HANA データベースでの監視アクティビティからのデータの大規模な格納
  • 長期にわたる大規模なシステムランドスケープの大量の監視データの格納 (パフォーマンス、ビジネスプロセス監視、または統合監視)
  • SAP ランドスケープ外の追加監視プラットフォームを使用した、監視データのサードパーティシステムからの日次アップロード

SAP Cloud ALMの機能(抜粋)

SAP Cloud ALMでは、各種SAP製品やサービス(SAP Cloudプラットフォーム含む)と連携して使用できるソリューションが多数用意されています。サポート(機能)の提供の仕方もそれぞれです。そのSAP Cloud ALMのサポート対象のソリューション一覧より、オンプレミス環境のS/4HANAの領域のみをソリューションを抜き出してみました。

領域SAP Cloud ALMの機能説明
導入タスク管理利用可能なタスクテンプレート:
  • SAP S/4HANA Cloud, private edition 向け SAP Activate 方法論SAP サイトでの公開情報 (新規導入およびシステム変換)
  • SAP S/4HANA Cloud, extended edition 向け SAP Activate 方法論SAP サイトでの公開情報

プロジェクトのタスクを管理することができます。
例えば、プロジェクトのタスクおよびユーザストーリーの登録、タスクの詳細の表示、ロールと担当者のタスクへの割り当て、タスクの一括編集および削除、スプレッドシートへのタスクリストのダウンロードなどです。

導入要件管理プロジェクトのコンテキストで登録された要件を管理することができます。
例えば、要件を登録する、要件の承認権限を付与する、検索して要件別にフィルタリングするです。
導入デプロイメント管理SAP S/4HANA Cloud, private edition、および SAP NetWeaver Application Server for ABAP オンプレミスの移送管理を有効化することで、導入ランドスケープを通じて移送依頼の配置を調整できます
導入

テスト管理

テスト準備、テスト実行という項目があります。
マニュアルテストケースを登録し、アクティビティ及びアクションを登録し、それらの構造のコンテンツを準備する。テストケースに要件及びユーザストーリーを割り当てる。テスト準備の進捗を追跡する。テスト準備で登録したテストケースの実行をしたり、進捗管理を行います。
運用統合および例外監視Integration & Exception monitoringの目的は、データ交換プロセスの透明性を提供することです。
統合と例外監視は、ITとビジネス間のギャップを埋めます。
この機能を利用できるユーザは、技術的またはビジネス的な根本原因を含め、インターフェースコールとメッセージフローの実際の処理を分析することができます。
運用ビジネスプロセス監視

ビジネスシナリオでサポートされる KPI:

Lead-to-Cash、Source-to-Pay、Design-to-Operate

システムが健全に継続的に動作するよう、簡易的ではあるが、わかりやすいビジネスプロセスの状態を表示して把握することができます。
運用ヘルス監視概要、モニタリング、分析といった分類でシステム状態を把握する情報を収集・表示します。
運用ジョブおよび自動化監視SAP Application Jobs, SAP Intelligent Robotics Process Automation Jobs, SAP ABAP Jobs, SAP BW Process Chainsといったジョブのデータを収集し、システム単位でそれらを表示したり、簡単なステータスとエラー表示/解析といった作業が行えるような情報を収集/表示します。
運用リアルユーザ監視HTTP(S)、RFC(S)、ダイアログ、Webサービスといった接続タイプのユーザの情報を取得して表示します。どの時間帯にどれくらいのユーザが接続して利用しているかといった情報を、グラフ等で表示することができます。


今回は、SAP ALM、SAP Cloud ALM、そしてシステム監視系の機能を中心に取り上げました。次回は、SAP Cloud ALMと、SAP S/4HANAオンプレミスとの接続、そのために利用するSAP BTP Cockpit、ヘルス監視を見るまでについて取り上げていきます。

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