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ウェビナー開催概要
2025年7月にLIVE開催、ならびに9月にアーカイブ配信で『なぜ、既存のDWH基盤では「SAPデータの有効活用」は難しいのか? ~「SAP S/4HANA×AWS」で実現、データ駆動経営時代に最適な分析基盤の作り方~』ウェビナーを開催し、多くの企業が抱えるSAPデータ活用の課題について詳しく解説しました。
これまでSAPデータ活用に使われてきたデータウェアハウスには、情報不足・システム制約・高コストという3つの大きな課題があり、これらがSAPデータの有効活用を阻んでいます。
本レポートでは、ウェビナーで紹介されたこれらの課題の解決策と、AWSを活用してSAPデータから真の価値を引き出す具体的な方法についてご紹介します。
SAPデータ活用における3つの課題
1. 情報不足の課題
従来のSAPデータ活用では、書籍やインターネットで公開されている情報が限定的で、社内にSAP専門家がいない企業では複雑な設定や構築に関する情報不足により、プロジェクトが停滞してしまうケースが多く見られました。
2. 既存システムの制約
多くの企業では、既存のデータウェアハウスの限定的な機能に依存せざるを得ない状況にありました。従来型のデータウェアハウスでは、シンプルなテーブルを作成することはできるものの、グラフや地図情報を活用した可視化など、柔軟な表現力には限界があり、ビジネス上の幅広いデータ活用ニーズに十分対応できないケースが少なくありませんでした。
3. 高コストの問題
従来のデータウェアハウスは高額な初期投資が必要で、更にSAP専門家による運用・保守に継続的な費用が発生するため、特に中小企業にとっては導入のハードルが非常に高い状況でした。
AWSによる革新的な解決アプローチ
AWSを活用することで、これらの課題を根本的に解決できます。豊富な技術資料と成功事例を活用でき、データ分析からインフラ、セキュリティまでを包括的にカバーする多様なサービスを自由に組み合わせることができます。さらに従量課金制により、初期費用をかけることなく導入ハードルを大幅に軽減できます。
SAPデータ分析基盤の基本構成
効果的なSAPデータ分析基盤は、AWS Glue(データ抽出とETL処理)、Amazon S3(データレイクとして生データを格納)、Amazon Redshift(データウェアハウス)、Amazon QuickSight(BIツール)という4つのAWSサービスで構成されます。
S/4HANAはオンプレミス環境、Amazon EC2、RISE with SAPのどの稼働環境でも問題なく利用でき、データは「SAP S/4HANA → AWS Glue → Amazon S3 → Amazon Redshift → Amazon QuickSight」という流れで処理されます。
3つの応用シナリオ
1. Amazon Athenaによるアドホック分析
S3上のデータに直接SQLクエリを実行することで、「この商品カテゴリーの売上が今週だけ急降下した理由をすぐに知りたい」といった突発的な分析ニーズに即座対応できます。
2. 複数データソースとの統合分析
SAPの受注実績データとSalesforceの取引先データを組み合わせて地域別売上実績を分析するといったように、複数データソースを組み合わせることでより高度な分析ができるようになります。
3. 生成AIによる自然言語分析
Amazon Q in QuickSightを活用することで、「2020年1月から3月までの期間で最も販売額が大きい商品は何?」といった質問を自然言語で投げかけるだけで、AIが自動で分析を行い視覚的に結果を表示します。SQLを書く必要がないため、非技術者でも簡単にデータ分析が可能です。
実現できるビジネス価値
QuickSightでのデータ可視化により、地域別売上実績の地図表示、季節・イベント別受注推移の時系列分析、品目グループ別実績の比較分析といった多様な分析が可能になります。
例えば「品目グループTrading Materialsの受注実績は、Cruiseの受注実績と比較してかなり少ない。マーケティング施策を検討すべき」といった具体的な課題発見と解決策の立案もできるようになります。
まとめ
従来型のデータウェアハウスにおける情報不足・システム制約・高コストという3つの課題は、AWSを活用することで根本的に解決できます。豊富な情報とサポート体制、柔軟で拡張性の高いシステム構成、初期費用を抑えた従量課金制、そして生成AIによる自然言語でのデータ分析により、SAPに蓄積された貴重なデータを真のビジネス資産として活用できます。
※本ウェビナーでご紹介した内容は、2025年7月時点の公開情報を元にしています。実際のサービス導入にあたっては最新情報をご確認ください。
※SAPデータ活用にご関心をお持ちの企業様は、お気軽にお問い合わせください。
ウェビナーは、以下の動画でアーカイブをご覧いただけます。
※関連リンク:【プレスリリース】BeeX、AWSを活用したSAPデータ抽出・分析ソリューションの提供開始 〜データ抽出から可視化・アドホック分析・生成AI活用までワンストップで支援〜