目次
はじめに
こんにちは。BeeX エンタープライズソリューション本部 データインテリジェンス部の牧野です。
先日開催された「TerraSkyDay 2025」では、多くの皆様にセッション「BeeXエンジニアが語る!Salesforce × AI × データ活用」をご聴講いただき誠にありがとうございました。
イベントレポート記事ではセッション全体の概要をお伝えしましたが、今回の記事では「データの準備」に関する内容を掘り下げて解説します。
データプラットフォームを導入予定の企業様や、社内データ活用にお悩みの皆様に向けて、データ準備の核となるETL処理の基礎や、それを実現する強力なツールである AWS Glue の豊富な機能についてご紹介します。
データ準備の重要性
データ活用までの流れ
データ活用を成功させるには、一般的に以下の4つのステップが必要です。
- 生ログの収集 :各システムから生データを収集
- データETL :Extract(抽出)・Transform(変換)・Load(格納)
- データ格納/集計 :情報の集約と統合
- データ可視化/活用 :BI・AI分析による価値創出
この中でもデータETLは、バラバラな形式の生データを、分析可能な形(資産)に整備する重要な工程です。
品質の悪いデータからは品質の悪い分析結果しか得られない(「Garbage in, Garbage out」)という原則からも、データ活用によるビジネス価値創出には、データETLのステップで高品質なデータに変換することが不可欠です。
データETLの課題
データETLでは、以下のような課題が伴います。
- システムの分散 :CRM、ERP、会計、人事など、データ取得元が多岐にわたる
- データ形式の違い:CSV、JSON、データベース、APIレスポンスなど形式が統一されていない
- 更新頻度の違い :リアルタイム、バッチ、手動更新など、データ鮮度の要件が異なる
- 技術的な複雑さ :開発時にはプログラミング知識が必要となり、作業が属人化しやすい
これらの課題解決には、データ連携ツールの導入が有効な解決策となります。ツールを利用することで、ETL処理の開発・運用を効率化し、データプラットフォームの安定運用を可能にします。
ETL処理の基礎知識
ETLの構成要素
ETLは、以下3つの工程の頭文字をとったものです。
Extract(抽出)
外部のデータソースからデータを抽出する工程です。
- データベース(SQL Server、MySQL、PostgreSQLなど)
- ファイル(CSV、Excel、JSONなど)
- SaaS/API(Salesforce, REST APIなど)
Transform(変換)
抽出したデータを分析に適した形に加工する工程です。ここでの処理がデータ品質を左右します。
- データクレンジング:欠損値の補完、重複の除去
- データの標準化 :形式の統一、単位の変換、構造化データへの変換
- メタ情報の付与 :識別子やタイムスタンプの追加
- 機密保護 :個人情報のマスキング処理
- データ統合 :複数のマスタデータの結合
Load(格納)
加工済みのデータを目的の保管場所に格納する工程です。
- データレイク(Amazon S3など)
- データウェアハウス(Amazon Redshift、Snowflakeなど)
- NoSQLデータベース(DynamoDBなど)
(補足)ELTとの違い
昨今は、ELT(Extract, Load, Transform)という手法も一般的です。
ETLとは順序が異なり、生データをまずそのまま格納先にロードし、その後で変換処理を行う方式です。
今回は、データ品質を担保する基本の型として、ETLの手法をメインに解説します。
AWS GlueによるデータETL
AWS Glueの概要
AWS Glueは、AWSが提供するサーバーレスのデータ統合サービスです。
内部エンジンとして分散処理フレームワークであるApache Sparkや、Pythonを使用しており、小規模なデータからペタバイト級の大規模データまで柔軟に処理可能です。
主な特徴:
- サーバーレス :インフラ管理が不要
- スケーラブル :データ量に応じてリソースを自動拡張
- コスト効率 :実行した分だけの従量課金制
以下、AWS Glueの主要機能を紹介します。
1. データの検出とカタログ管理
データの「住所録」や「仕様書」にあたる機能です。
Glueデータカタログ :どこにどんなデータがあるかの情報(メタデータ)を一元管理します。
Glue クローラー :登録したデータソースを自動でクロールし、ファイル形式やスキーマ(列定義)を自動検出してデータカタログに登録します。これにより、データ定義の運用保守作業を大幅に削減できます。
2. 多様なETLジョブ作成環境
ユーザーのスキルや要件に合わせて、開発方法を選択できます。
AWS Glue Studio :プログラミング不要で、画面上のドラッグ&ドロップで処理フローを作成できるビジュアルジョブエディタ(裏側でコードが自動生成されます)。
AWS Glue for Spark:大規模データの高速処理に最適なエンジンです。
AWS Glue for Ray :計算処理(Pandas等)に特化したエンジンです。
Python シェルジョブ:小規模なデータ処理や軽量なタスク向けです。
3.ストリーミング処理(AWS Glue Streaming)
Amazon Kinesis や Amazon MSK, Apache Kafkaからのデータをリアルタイムで取り込み、処理することが可能です。
4. データ品質の管理 (AWS Glue Data Quality)
データの信頼性を保つための機能です。
「データが欠損していないか」「値が範囲内に収まっているか」などのルールを定義し、ETL処理の中で自動的に品質チェックを行うことができます。異常があればアラートを出すなど、継続的な品質監視も可能です。
5. ワークフローと自動化
イベントベースのトリガー:「S3にファイルが置かれたら実行」といったイベント駆動の実装が容易です。
ワークフロー機能 :複数のジョブの実行順序や依存関係を、視覚的に管理できます。
AWS Glue導入のメリット
ETLの現場で求められること
データETLの作業において、以下のような要望が考えられます。
- プログラミングレス :エンジニア以外でも連携フローを構築したい
- 多様な接続先 :社内DBやSaaSサービスなど幅広い接続先と連携したい
- 運用面の可視化 :エラー時の対応や複雑なデータフローを管理したい
AWS Glueによる解決策
AWS Glueでは、以下機能により要望に応えることができます。
1. ノーコード/ローコード開発
ビジュアルエディターにより、GUI操作だけでETLパイプラインを構築可能です。
2. 豊富な連携コネクタ
各種データソースに対応しており、追加開発なしで接続設定を行うことができます。
- DB: SQL Server, MySQL, Oracle, PostgreSQLなど
- SaaS: Salesforce, ServiceNow, Google Analyticsなど
- NoSQL: MongoDB, DynamoDBなど
- ファイルシステム: S3、HDFSなど
- ストリーミング: Kinesis、Kafkaなど
3. 運用の自動化と監視
ジョブのスケジュール実行、エラー通知、リトライ処理などが標準機能として備わっており、運用負荷を軽減します。
まとめ
データ活用の成功には、高品質なデータを効率的に準備するETL作業が不可欠です。
ETL処理はその中核を担う重要な技術であり、AWS Glueはその実装を簡素化し、効率的な運用を可能とする強力なソリューションです。
「データが各所に散らばっていて活用できない」「手作業でのデータ加工作業を自動化したい」といったお悩みをお持ちの企業様は、ぜひBeeXまでご相談ください。AWS Glueをはじめとした最適なソリューションで、貴社のデータ活用をご支援いたします。
おわりに
データ活用に関するご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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参考URL
AWS Glue クローラーを使用したデータカタログへの入力