目次
はじめに
このブログではS/4HANA Cloud Public Editionで用意されている会計伝票登録機能の紹介と機能の比較になります。
SAPECCの頃から様々な会計伝票登録機能が提供されていましたが、S/4HANA Public Cloud Editionでは汎用的な登録画面(例えばF-02)が廃止されたため、登録できる仕訳の種類に合わせた用途別の画面を使いこなすことが必須となりました。
汎用的な登録画面では「転記キー」などSAP特有の入力項目などがあり、ユーザに理解しにくいものは廃止して、用途別のわかりやすい画面を提供しようとする方針なのでしょう。
機能一覧と比較
【項目の説明】
項目 | 説明 |
---|---|
登録方法 | 個別:1伝票ずつの登録、 一括:エクセルなどを通して複数伝票を一括で登録 |
承認WF | 未転記機能またはワークフロー機能の有無 |
勘定 | 使用できる勘定の種類と明細に入力可能な行数 |
【機能(画面)の一覧】
※確認したもののみ。その他、消込処理時に差分の伝票明細を起票するなどの機能もあります。
機能 | 登録方法 | 承認WF | 勘定-借方 | 勘定-貸方 |
---|---|---|---|---|
一般仕訳転記 | 個別 | なし | G/L勘定 (複数行) | G/L勘定 (複数行) |
一般仕訳チェック | 個別 | WF | G/L勘定 (複数行) | G/L勘定 (複数行) |
一般仕訳アップロード | 一括 | WF | G/L勘定 (複数行) | G/L勘定 (複数行) |
サプライヤ請求書登録 | 個別 | 未転記 WF | G/L勘定 (複数行) | 仕入先統制 (単一行) |
サプライヤ請求書インポート | 一括 | 未転記 WF | G/L勘定 (複数行) | 仕入先統制 (単一行) |
仕入先請求書の登録 | 個別 | なし | G/L勘定 (複数行) | 仕入先統制 (単一行) |
得意先請求書登録 | 個別 | なし | 得意先統制 (単一行) | G/L勘定 (複数行) |
得意先未消込明細アップロード | 一括 | なし | 得意先統制 (単一行) | G/L勘定 (複数行) |
【機能比較からみえる制限事項】
・統制勘定(得意先・仕入先)については、単一行の登録しかできない
・統制勘定(得意先・仕入先)間の振替仕訳が登録できない。
→入金転記などの機能で別で登録する必要がある
・一括アップロードの機能があるがそれぞれにフォーマットが異なる
・承認機能の有無や承認機能の種類が統一されていない
【所感】
特定の業務(特定の会計処理)のみを行うユーザにとっては、専用画面が用意されているためわかりやすいと感じましたが、多種多様な会計伝票を登録する必要がある経理ユーザの場合は、用途別に画面を使い分ける必要があるために逆に効率がおちるのではと感じました。
そこで、SAP標準で提供されているAPIを利用して簡易的なツールを作成してみました。
以降はそのイメージとなります。
実装事例(ツール開発)
開発の効率と使用感を考慮し、エクセルから会計伝票を登録するツールを作成してみました。
【ツールの作成方針】
・特定の仕訳パターンに縛られることなく汎用的に会計伝票を登録できる機能とする
→例えば、勘定の種類(G/L勘定、統制勘定)や塘路kできる明細の数に制限がない
・2重登録を回避し、エラー分のみ内容を修正して再登録できる
・登録された伝票の照会画面に簡単にアクセスできる
【使用ステップ】
・シートに登録用のデータを作成
・消費税計算ボタンで消費税額を計算
・会計伝票登録ボタンでSAPのAPIをコールし会計伝票を登録する
・登録用データシートの右端の列に登録結果(またはエラー)情報があり、会計伝票を照会する場合はリンクより確認する
【イメージ】
【所感】
APIを利用することで、SAPの画面の制限を受けることなくユーザニーズに対応した汎用的な機能を開発できることがよいと思いました。
ただしAPIの利用方法が複雑であったり利用できるAPI自体に制限があったりもするため、ノウハウが蓄積するまでは事前の調査・検証の負担が大きいと感じました。
さいごに
このブログではS/4HANA Cloud Public Editionで用意されている会計伝票登録機能の紹介と機能の比較を紹介しました。
SAPへは以下の2点を期待したいと感じました。
・経理のようなプロユーザ向けには汎用的に登録できる機能を提供する
・承認機能は統一の仕様で実装する
BeeXでは、Excelでの一括登録ツールなどのご相談も対応可能です。ご興味がある方はお気軽にご連絡ください。
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