SAP社の視点でSAP-Google協業発表の記事をまとめてみた。

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SAP社の視点でSAP-Google協業発表の記事をまとめてみた。

目次

昨日(2017/3/8)米国サンフランシスコで開催されていたGoogle社のイベント「Google Cloud Next’17」で発表された、SAP社とGoogle社の協業発表について、まとめてみました。

すでに各社メディアで取り上げられておりますが、発表の内容で使われている用語が指す実体がなんなのかについて、この業界にどっぷりの方以外は正直全くついて行けないかと。結果的に詳細の技術までは訴求されておりませんでしたが、SAPとクラウドの技術専業である弊社としては、できるだけ分かり易く読み解きたいと思います。

今回はSAP社の視点ということで、元ネタは下記のSAP Blog記事です。
Flexibility, scalability, speed: SAP and Google announce strategic partnership

ポイントとしては、下記の5点になります。
Google Cloud Platform(GCP)上でSAP HANA稼働が正式サポート

SAP HANA,Express edition環境が Google Cloud Launcher からDeploy可能

SAP社製PaaSであるSAP Cloud PlatformをGCP上で稼働できる予定(現状はWorking)

両社のアプリ連携(G Suite、IAM on SAP Cloud Platform)

機械学習における協業成果は今年のSAPPHIRE でお目見え


ひとつずつ、技術面を読み解いていきます。

1.  Google Cloud Platform(GCP)上でSAP HANA稼働が正式サポート

ここでいうHANAはIaaSとしてのGCP上でHANA DBが動くということ。こちらに詳細が明記されていますが、提供形態については下記の2種類が提供されており、両方とも本稼働サポートまで提供されています。

SAP HANA BYOL(SAPライセンス持ち込み型

現時点ではメモリー容量は最大208GBまで、本稼働サポートOKも明記されています。用途としては Native HANA applications、Native SAP HANA data marts and analyticsとあり、業界の人向けに説明するとすれば、いわゆる Pure HANA 環境が想定されています。
なお、環境構築する際には、自動でProvisioningできる機能を提供する予定とのこと。先行するAWSでは、AWS CloudFomationというサービスを使って、HANAのインストールを自分で行うことなくHANAサーバの展開が可能ですが、このような機能が提供されるのかは気になるポイントです。
注意としては今回のHANAはS/4 HANA用途に関しては明記されていません。HANAが認定されただけで他のSAPプロダクトがAWSやAzureの様に認定されたわけではなさそうです。今後認定が拡大されていくのかについて注目したいと思います。

SAP HANA,Express Edition(最大メモリ容量制限付きSAPライセンス無償提供型)

こちらは、主に開発用途でSAP HANAとしてのメモリー容量が最大32GBまではSAPライセンスは無償で使えます。このEditionが提供されている背景としては下記の通りで、最大32GBという数字はデスクトップPCで開発者が使うことを視野に入れた結果みたいです。

SAP HANA, express edition is a streamlined version of the SAP HANA platform which enables developers to jumpstart application development in the cloud or from a personal computer to build and deploy modern applications that use up to 32GB memory – without incurring any license fees.

こちらの環境構築については次項を参照ください。

2. SAP HANA, express edition環境Google Cloud Launcher でDeploy可能

Google Cloud LauncherはGoogle社が提供する環境構築の自動化ツールで、実際の画面は下記の通りです。「Compute Engine上で起動」ボタンを押して各種設定後、環境が自動構築されます。実際の画面はこちら

GCP利用の参考価格は下記の通り明示されており、VMインスタンスが n1-highmem-2で、2vCPU,13 GBMemでOSはSLES12となっています。すぐ使えて、おまけに安くて便利と思うのですが、使いこなしはこれからでしょうか。

実際の操作の流れについては、Getting Startedガイドが参考になります。


3. SAP社製PaaSであるSAP Cloud PlatformをGCP上で稼働できる予定

SAP社のPaaSであるSAP Cloud Platform(旧HCP)がGCP上で稼働予定であることが発表されました。SAP社としてはコンテナ化、スケーラブルなデータ処理の分野おいてGoogle社がフロントランナーだと認識しているとのこと。具体的には、エンタープライズ環境で発生するワークロード(要は処理負荷)に対して、Kubernetesのような技術開発をGoogle社と協同で行っているそうです。Kubernetesとは、コンテナ型仮想化のDockerを管理するフレームワークとして、Googleがオープンソースとして公開したソフトウェアのこと。略称k8s、読み方はクゥバネィテスとかクーベルネイテス。
Dockerを管理するKubernetesの基本的な動作や仕組みとは? – Publickey
また、GCP上でSAP Cloud Platformが提供できることによって、エンタープライズ向けのクラウドアプリケーションに対してGCPとSAP Cloud Platform双方のサービスやAPIを組み合わせることができるようになるとあり、この辺りは今後2,3ヶ月以内にさらなる発表があるようです。

4.両社のアプリ連携(G Suite、IAM on SAP Cloud Platform)

SAPアプリケーションとGoogle社のG Suite(わかりやすいところではGMailやGoogle Calendar)が連携し、またSAP Cloud Platform上のIdentity and Access Management(IAM)ソリューションがG SuiteとGCP両方と連携することで、いつでもどこでも、どんなデバイスからでも使えるG SuteやGCPから、セキュアにSAP環境にアクセスできるようになる。

5.機械学習における協業成果は今年のSAPPHIRE でお目見え

With machine learning becoming increasingly important, SAP and Google will also collaborate in this area, taking full advantage of the business and technology capabilities of both industry leaders – more about this at this year’s SAPPHIRE NOW event!

ちなみに今年のSAPPHIREの最初はフロリダ州オーランドにて5月16~18日開催、すぐですね。

まとめ

今回、注目すべきところは、SAP Cloud PlatformがGCP上で提供されるようになるという発表です。SAP Cloud PlatformがSAPのデータセンター以外から提供されるようになるのは初であり、これはAWSやAzureでも提供されておらず、GCPが初となります。サービス提供形態がどのような形になるのか?具体的な連携機能は?など詳細は不明ですが、おそらく今年のSAPPHIREなどで、もっと踏み込んだ発表があるのではないかということが期待されます。また他パブリッククラウドでも同様な発表があるのか?といった点にも注目したいと思います。
長文、最後までお読みいただきありがとうございました。

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