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AWS Lambdaは、Amazon Web Servicesの中でも特に注目されるサービスの一つです。サーバーの管理やスケーリングの手間を気にせず、効率的にデータ処理やバックエンドのタスクを実行できるのがその大きな魅力です。
「AWS Lambda入門2023年版!」では、このサービスの核となる価値や特徴、そしてメリット・デメリットを詳細に解説します。実際の活用事例を交えながら、Lambdaの真価を明らかにしていきます。AWS Lambdaの導入を検討している方、またはすでに利用しているが、より深く理解したい方に向けて、本記事は最新の情報と知識を提供します。AWS Lambdaの可能性を最大限に引き出すための第一歩となる内容となっております。
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AWS Lambdaとは?
AWS Lambdaは、Amazon Web Services(AWS)が提供するイベントベースのサーバーレスコンピューティングサービスで、開発者がサーバーの設定や運用を気にすることなく、効率的にコードを実行できる環境を提供します。特定の言語やランタイムで書かれた関数を利用し、S3バケットの変更、DynamoDBテーブルの更新、HTTPリクエストなど、様々なAWSサービスからのイベントに応答してコードを自動的に起動することができます。
このサービスは「サーバーレス」と呼ばれ、開発者はサーバーの維持管理を意識することなく、アプリケーションのコードに集中できる環境を提供します。サーバーはAWSが背後で管理し、インフラストラクチャ、運用、セキュリティパッチの適用など、サーバー運用に関わる様々なタスクをAWSが担ってくれます。
また、AWS LambdaはFunctions-as-a-Service(FaaS)とも呼ばれ、イベント駆動型の関数を利用してコードを実行することができます。開発者は管理タスクを気にすることなく、クラウドプロバイダからのリソースの予約、サーバーの状態管理、リソースのスケーリングなどをAWSに任せ、コードの作成と最適化に専念できます。
AWS Lambdaの利用により、ハードウェアの購入、維持、交換の必要がなくなり、クラウドベースの操作を迅速かつコスト効果的に開発および実行することが可能です。これにより、開発者はお客様にスムーズなサービス提供を保証するコードの作成に集中でき、無駄なクラウドの支出を削減することができます。
AWS Lambdaの仕組み/どのように機能するのか?
AWS Lambdaは、Amazon Web Servicesのサーバーレス・コンピューティング・プラットフォームとして、開発者に強力なツールを提供しています。Lambdaの各機能は、固有のコンテナ内で動作し、機能が生成されると、特定のコンテナに組み込まれて起動されます。
この際、適切なRAMやCPUが自動的に割り当てられ、コードが効率的に実行されます。コードの実行が完了すると、使用されたリソースは初めに供給されたRAMに基づいて計算され、顧客はその使用量に基づいて請求されます。
Lambdaの基盤レイヤはAWSが完全に管理しており、ユーザーはシステムの背後での動作やリソースの管理を気にすることなく、アプリケーションのコードの作成と最適化に専念することができます。さらに、Lambdaは同じAWSアカウント内で、同じまたは異なる機能の多くのインスタンスを並行して動作させる能力を持っており、この高い拡張性により、Lambdaはクラウドコンピューティングの効果的な解決策として位置づけられています。
この独特な構造とAWSエコシステムとのシームレスな統合により、大規模で安全、柔軟、かつコスト効率の高いアプリケーションをクラウドで構築することが可能となります。
なぜAWS Lambdaがサーバーレスアーキテクチャに不可欠なのか?
サーバーレスアプリケーションを構築する際、AWS Lambdaはアプリケーションコードを実行するための主要な候補の1つです。通常、サーバーレススタックを完成させるには、以下のものが必要になります。
- コンピューティング・サービス
- データベースサービス
- HTTPゲートウェイ・サービス
LambdaはAWSにおけるコンピュートサービスの主要な役割を果たしています。また、他の多くのAWSサービスとも統合されており、API Gateway、DynamoDB、RDSとともに、AWSを利用する人のServerlessソリューションの基盤を形成しています。Lambdaは最も一般的な言語とランタイムの多くをサポートしているため、幅広いServerless開発者に適しています。
AWS Lambda関数とは?
Lambda関数は、AWS Lambdaで実行するためのコードの単位です。この関数は、特定のプログラミング言語で書かれ、特定のイベントに応答して実行されるように設計されています。関数は、必要な依存関係やライブラリとともにパッケージ化され、AWS Lambdaにデプロイされます。
Lambdaの機能の設定や呼び出し、管理は、以下の方法で行えます:
- AWSの管理ツール(AWS Management Console)
- AWS CloudFormation
- AWSのサーバーレスアプリケーションモデル(SAM)
- AWSの開発ツールキット (AWS SDKs)
- AWSのコマンド操作ツール (AWS Command Line Interface)
サーバーレスアプリケーションモデル(SAM)をコードに使用する場合、AWS Lambda関数は独立したコンテナになります。
Lambda関数は通常コンテナで、その関数に関連する設定情報から構成されるからだ。その情報には、関数名と説明、リソース要件、エントリポイントなどが含まれます。
Lambda関数のトリガーは?
AWS Lambda関数は、多様なイベントソースに対応して動作を開始することができます。これらのイベントソースには、Amazon S3でのデータの変動やAmazon DynamoDBのテーブルの変更、API Gatewayを通じたHTTP要求などが挙げられます。さらに、カスタムアプリケーションからの直接のリクエストもLambda関数のトリガーとして機能します。
具体的には、以下のようなイベントがLambda関数を起動させることができます。
- Amazon S3のデータ変更
- Amazon DynamoDBのテーブル更新
- Amazon API GatewayのHTTPリクエスト
- Amazon Kinesisのデータストリーム
また、以下のサービスもLambda関数のトリガーとして利用可能です。
- CloudFront
- SQS
- Alexa スマートホーム
- SNS
- AWS IoT
- CloudWatchイベントおよびログ
- アプリケーションロードバランサー
これらのトリガーを活用することで、AWS Lambdaは柔軟に様々なタスクを自動的に実行することができ、これにより効率的なサーバーレスアーキテクチャの構築が可能となります。
AWS Lambdaがサポートするプログラミング言語とは?
AWS Lambdaは、多様なプログラミング言語をサポートしており、開発者は自身の得意な言語を使用してLambda関数を容易に作成することができます。具体的には、Python, Java, Node.js, C#, Go, Ruby などの言語がサポートされています。
具体的にAWSがネイティブにサポートする言語は以下の通りです。
- Node.js (14, 12):Amazon Linux 2 OSを使用
- Python (3.6, 3.7):Amazon Linux、(3.8):Amazon Linux 2 OSを使用
- Go (1.x):Amazon Linux 2 OSを使用
- C# (.NET Core 3.1):Amazon Linux 2を使用
- Ruby 2.7:Amazon Linux 2 OSを使用
- Java 8:Amazon Linux OS、Java 8 (Java8.la2)およびJava 11:Amazon Linux 2 OSを使用
- カスタムランタイム:Amazon Linux 2およびAmazon Linuxで利用可能
また、Dockerコンテナイメージをカスタムランタイムとして利用することもできます。さらに、AWSはRuntime APIを提供し、追加の言語でのコード実装をサポートしています。これらのランタイムは、Amazon LinuxやLinux 2の環境で、AWSによって維持・管理されています。
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AWS LambdaとEC2の比較
AWS LambdaとAmazon EC2は、AWSが提供するコンピューティングリソースのサービスですが、その特性や利用シーンは大きく異なります。以下で、それぞれの特徴と利点を簡単に比較します。
AWS Lambdaの特徴
サーバーレス
Lambdaは完全に管理されたサーバーレスのコンピューティングサービスで、コードをアップロードして実行するだけで利用を開始できます。
イベント駆動
Lambdaは特定のトリガー(イベント)に応答してのみ実行されます。これにより、24/7稼働する必要がなく、使用したリソースのみの課金となるため、コスト効率が良いです。
完全に管理された環境
ユーザーはインフラストラクチャにアクセスすることなく、AWSが全ての管理を行います。
Amazon EC2の特徴
仮想サーバー
EC2はクラウドベースの仮想マシン(VM)アーキテクチャを使用しており、ユーザーが完全に管理する必要があります。
高いカスタマイズ性
EC2では、インスタンスの制御や容量の確保、OSの選択、ネットワークツールの設定など、インフラの細かな部分までカスタマイズが可能です。
アプリケーションの移行
既存のアプリケーションのアーキテクチャを大きく変更することなく、クラウドへの移行が容易です。EC2のインフラをアプリケーションに合わせて変更することができます。
総合的に見ると、技術的な責任を持つ経験や予算、時間が限られている場合、Lambdaは管理された、即利用可能で、高いスケーラビリティとセキュリティを持つサーバーレスのコンピューティングプラットフォームとして適しています。一方、柔軟性やカスタマイズの自由度を求める場合はEC2が適しています。
AWS Lambdaの使用例
AWS Lambdaは、サーバーレスのコンピューティングサービスとして、多岐にわたるタスクやアプリケーションに適用されています。Lambdaの特性を最大限に活かすことで、従来のクラウドコンピューティングのセットアップよりも効果的に利用できる場面が多数存在します。以下は、AWS Lambdaの主な使用例をいくつか紹介します。
1. スケーラブルなAPIの構築
APIをAWS Lambdaで構築する場合、Lambda関数の一回の実行が一つのHTTPリクエストを処理します。Amazon API Gatewayを通じて、APIの異なる部分を異なるLambda関数にルーティングすることができ、それぞれの関数は使用量に応じて自動的にスケーリングされます。これにより、APIの異なる部分が現在の使用状況に応じて異なるスケールで動作することが可能となり、効果的かつ柔軟なAPIのセットアップが実現されます。
2. データ処理
Lambda関数は、イベントベースのデータ処理に最適化されています。Amazon DynamoDBのようなデータソースとAWS Lambdaを簡単に統合し、特定のデータイベントに対してLambda関数をトリガーすることができます。例として、DynamoDBのアイテムが作成または更新されるたびにLambdaを使用して作業を行うことが考えられます。これは、通知やカウンター、分析などに適しています。
3. リアルタイムのデータ処理
Lambdaは、リアルタイムのデータストリーム処理や、アプリケーション内のクリック処理、Amazon S3へのアップロードオブジェクトの処理、リアルタイムのログ分析など、瞬時に反応するタスクに適しています。
4.バックエンドアプリケーションの構築
遅延に敏感なアプリケーションのバックエンドとして、または、複数のデータセンターにまたがってシームレスにスケールアップ・ダウンするウェブアプリケーションの構築に利用できます。
5. その他の利用シーン
IoTデバイスからのデータ収集、モバイルアプリケーションのバックエンド、サードパーティAPIのリクエスト処理、リアルタイムでのドキュメントのフォーマット変換など、多岐にわたるタスクに適用されています。
AWS Lambdaは進化し続けており、今後もさらなる機能や利用シーンが期待されます。
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AWS Lambdaのメリット・デメリットは?
AWS Lambdaは、サーバーレスアーキテクチャを採用したAWSのサービスとして、多くの利点を持ちつつ、一部の制約や注意点も存在します。以下に、AWS Lambdaの主なメリットとデメリットを詳しく紹介いたします。
メリット
1. コスト削減
AWS Lambdaは、リクエスト数やコードの実行時間に応じた従量課金制を採用しており、処理が行われなければ料金は発生しません。サーバーの管理やプロビジョニングの手間が不要で、サーバー管理にかかる費用を抑えることができます。
2. セキュアな実行環境
AWSの高度なセキュリティ体制のもと、サーバーレスの実行環境を提供します。
サーバーの管理が不要なため、開発者はコードの最適化に専念できます。
3. 障害リスクの軽減
AWS Lambdaは、サービス間の疎結合を実現し、障害が発生しても影響を最小限に抑えることができます。
4. プログラミング言語の選択肢
Java、Python、Node.jsなど、多様な言語をサポートしています。カスタムランタイムを使用して、非対応の言語も利用できます。
デメリット
1. 起動時間の制限
Lambda関数の実行時間は最大15分までと制限されており、それを超えるとタイムアウトとなります。
2. 処理実行数の制限
同一リージョン内での同一アカウントの処理実行数には上限があり、1,000が上限となっています。
3. 非同期実行の重複起動の可能性
非同期での実行時には、重複して起動する可能性があります。
4. コストの増加リスク
イベント数が多い場合や実行時間が長い場合、コストが増加するリスクがあります。
AWS Lambdaは、特定のユースケースやタスクには非常に適していますが、全てのシナリオで最適とは限りません。そのため、導入を検討する際には、上記のメリットとデメリットを十分に考慮することが重要です。
AWS lambdaについてよくある質問
Q:AWS Lambdaはオープンソースですか?
A:いいえ、AWS Lambda自体はAWS内でしか利用できないプロプライエタリ(独占的)なシステムです。
Q:AWS LambdaはAPIですか?
A:AWS Lambdaは、関数のコードの新しいバージョンのデプロイから、関数のレイヤーの確認、関数の削除まで、関数に対して多くの種類の操作を実行するために使用できるAPIを提供します。AWS Lambda APIの完全な説明はAPIリファレンスドキュメントで見ることができます。また、AWS Lambdaを使用して独自のAPIを構築することもできます: 詳細はこの記事のリソースセクションを確認してください。
Q:AWS Lambdaは他のAWS Lambda関数を呼び出すことができますか?
A:はい。1つのオプションは、Lambda API(関数コードでAWS SDKを介して呼び出される)を使用して別の関数を呼び出すことです。もう一つの選択肢は、Amazon SNSのようなキューサービスを使用して、ある関数からSNSメッセージを作成し、それをイベントとして使用して2つ目の関数をトリガーすることです。さらに別の方法として、AWS Step Functionsを使って複数の関数を含むワークフローを構築することもできます。
AWS Lambdaの価格について
AWS Lambdaは、サーバーレスのコンピューティングサービスとして、多くの開発者に利用されています。その料金体系は、他のAWSサービスとは異なる特徴を持っています。ここでは、その詳細と従量課金の仕組みについて解説します。
AWS Lambdaの基本的な課金の仕組み
1. 無料利用枠
AWS Lambdaは、新規及び既存のAWSアカウントに対して、毎月100万回のリクエストと400,000 GB-秒の実行時間を無料で提供しています。この無料利用枠は、12ヶ月の制限がなく、継続的に利用できる点が特徴です。
2. リクエスト課金
Lambdaは、コードの実行回数に応じて課金されます。具体的には、Lambda関数が呼び出されるたびに、そのリクエスト数に基づいて料金が発生します。
3. 実行時間課金
関数の実行時間(ミリ秒単位)と割り当てられたメモリサイズに基づいて課金されます。この実行時間は、関数が開始してから終了するまでの時間を基に計算されます。また、課金は1ミリ秒単位で行われます。
4. メモリサイズに応じたリソース割り当て
Lambdaでは、関数に割り当てるメモリサイズを選択することができます。選択したメモリサイズに応じて、CPUやRAMなどのリソースが割り当てられます。
地域による価格の違い
AWS Lambdaの価格は、利用する地域によって異なる場合があります。例えば、南アフリカのケープタウンでは、100万リクエストあたり$0.27、GB-秒あたり$0.0000221という料金が適用されます。一方、北米のバージニア州やヨーロッパのストックホルムでは、100万リクエストあたり$0.20、GB-秒あたり$0.0000166667という料金が適用されます。
日本においては以下の金額で設定されています。
アーキテクチャ | 期間 | リクエスト |
x86 価格 | ||
最初の60億GB秒/月 | GB-秒あたり 0.0000166667USD | リクエスト 100万件あたり 0.20USD |
次の 90億GB秒/月 | GB-秒あたり 0.000015USD | リクエスト 100 万件あたり 0.20USD |
150億GB秒/月 以上 | GB-秒あたり 0.0000133334USD | リクエスト 100 万件あたり 0.20USD |
Arm料金 | ||
最初の75億GB秒/月 | GB-秒あたり 0.0000133334USD | リクエスト 100 万件あたり 0.20USD |
次の 112.5億GB秒/月 | GB-秒あたり 0.0000120001USD | リクエスト 100 万件あたり 0.20USD |
187億5千万GB秒/月 以上 | GB-秒あたり 0.0000106667USD | リクエスト 100 万件あたり 0.20USD |
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まとめ:Lambdaのコストを最適化する方法
かつてAWSでコンテナを運用していたAWS顧客の80%以上が、2020年1月までにLambdaに乗り換えたというデータがあります。その大きな理由として、Lambdaの潜在的なコスト削減効果と運用の容易さを挙げる人が多数でした。
しかし、Lambdaを使うことが必ずしも望ましいコスト削減につながるとは限りません。Lambdaのコストを削減したり、ROIを高めたりするには、AWSのコストを最適化する方法を知っておく必要があります。
AWSの料金体系の基本は「従量課金制」にあります。この方式によって実際に利用した分だけの料金が発生し、不要な出費を最小限に抑えることが可能です。しかし、適切なモニタリングを怠ると、予期せぬ高額な請求が来るリスクも存在します。
そのため、AWSの料金体系やサービスの特性を理解し、将来の運用体制も見据えた最良の利用戦略を策定することが極めて重要です。
BeeXはAWS認定のパートナーです。SAPのAWS移行の事例を多数有し、AWSに関する技術力には定評があります。現在利用されているAWSのコスト削減提案はもちろん、設計構築から運用・内製化までワンストップでお客さまをご支援いたします。
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