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2026年1月23日、株式会社SHIFT と株式会社BeeX の2社共催により、「SAP S/4HANAコンバージョンプロジェクトにおける移行時間短縮とテスト効率化」と題してオンラインセミナーを開催しました。
SAP ECC 2027年問題が目前に迫る中、多くの企業がS/4HANAへのコンバージョンを検討されています。しかし、長時間のダウンタイムによるビジネスへの影響が大きな課題となっています。
本セミナーでは、BeeXがダウンタイム短縮の技術的アプローチと「BeeX Swifty Moving Service」を紹介しました。本記事では、BeeXパートの内容についてまとめています。
BeeXセッション: ダウンタイム短縮のポイントとサービス紹介
S/4HANA移行における2つのダウンタイム
S/4HANA移行時に発生するダウンタイムを2種類に分類して説明しました。
1. ビジネスダウンタイム
移行作業に伴ってERPが本番稼働していない時間のこと。移行作業開始からカットオーバーまでの全体が該当します。
2. テクニカルダウンタイム
S/4HANA内の変換処理に伴ってERPがソフトウェア的に利用できない時間のこと。ビジネスダウンタイムの一部に含まれ、SUMとその前後のタスク実行が該当します。
ERPが利用できないことは業務に大きな影響を与えるため、このダウンタイムを可能な限り短縮することが重要となります。
それぞれのダウンタイム短縮アプローチ:
- ビジネスダウンタイム: 移行手順の最適化(事前準備の充実、並行作業の実施など)
- テクニカルダウンタイム: 技術的アプローチ
テクニカルダウンタイム短縮の3つの技術的アプローチ
AWS・Azureなどのパブリッククラウド利用を前提とした、テクニカルダウンタイム短縮の具体的な方法を3つ紹介しました。
1. 処理の並列化とCPU性能の向上
- SUMパラメーターで処理の並列数を上げることが可能
- 並列数に応じた十分なCPUコア数を搭載したVMタイプを利用
ポイント:
- CPUコア数を超える並列数を設定しても効果なし
- ディスクI/Oも考慮が必要(並列化によりディスクへの読み書きが増加)
- 処理順序の制御と組み合わせることで効果向上
また、SUMの仕様上並列処理が実行されないフェーズもあるため、そのような場合はCPUのシングルスレッド能力を上げることで高速化を実現。パブリッククラウドであればVMタイプ変更により容易にCPU型番も変更可能です。
2. ディスク性能の向上
- SUM処理中はディスクへのI/Oが頻繁に発生
- ディスク性能がボトルネックになると、並列数やCPU能力を上げても効果が得られない
- デフォルトの性能では不十分なケースが多い
- パブリッククラウドであれば移行作業中に一時的にディスク性能を向上させることが可能
重要:ディスクは容量だけでなくI/Oパフォーマンスにも着目
3. ネットワーク遅延の低減
SUM実行中はサーバー間通信が頻繁に発生
- DMOシステムムーブ: 中間機と新環境間の通信
- AP/DB分離構成: APサーバーとDBサーバー間の通信
サーバー間通信の遅延短縮により処理時間も短縮
パブリッククラウドのサービス活用:
- AWS: クラスタープレイスメントグループ
- Azure: Proximityプレイスメントグループ
インフラ構成変更による短縮が難しい場合の注意点
1. 最適な構成を導き出すには時間が必要
- テクニカルダウンタイムオプティマイゼーションツールでSUMの処理結果を確認
- サンドボックス環境でインフラ構成を変更しつつ複数回SUMを実行
- SUMの結果を分析して最適構成を検討
- S/4HANA移行にあたっては分析のためのPOC実施期間を設けることを推奨
2. 変更した構成は本番運用開始前に元に戻す必要がある
- 構成を元に戻せるかはクラウドベンダーにより異なる
- 戻し作業に伴うダウンタイムが発生する可能性を考慮
- 戻せない変更を入れるとオーバースペックな状態となり運用コスト増
- クラウド各サービスの仕様を事前に把握することが重要
BeeX Swifty Moving Serviceのご紹介
上記のような技術的アプローチは、インフラ構成を柔軟に変更できる環境(パブリッククラウド)で有効です。しかし、オンプレミス環境やRISE with SAPのようなプライベート環境では柔軟な構成変更が難しい場合があります。
そのような環境でも劇的なダウンタイム短縮を実現する選択肢として、「BeeX Swifty Moving Service」を紹介しました。
サービスの特徴
1. SNP社のCrystalBridgeプラットフォーム(CrystalBridge Move)を利用
データを2つに分けて取り扱い:
- トランザクションデータ・マスターデータ(業務データ)
- カスタマイジング・リポジトリーデータ
まずリポジトリーデータをアップグレードして移行先でカスタマイズ調整・アドオン修正
その後、業務データを変換転送
2. 劇的なダウンタイム短縮を実現
- 業務データの初回転送・差分転送は移行元が稼働中(オンライン)に実施可能
- ダウンタイム発生は最終同期のタイミングのみ
- SUMを使用した従来方式と比較して劇的にダウンタイム短縮
- ゴールデンウィークや年末年始のような長期休暇でなく、週末(土日)での移行も実現可能
3. 柔軟な対応
- 原則として全データを移行対象
- お客様要望次第でカーブアウト(データ切り出し)やマージシナリオ(データ統合)も対応可能
まとめ
- S/4HANA移行には2つのダウンタイム(ビジネス/テクニカル)が存在し、それぞれ異なるアプローチで短縮可能
- テクニカルダウンタイム短縮の具体的方法:
- 処理の並列化とCPU増強
- ディスク性能の強化
- サーバー間ネットワーク遅延の低減
- オンプレミス環境やRISE with SAPではインフラ構成変更による短縮が難しい場合、BeeX Swifty Moving Serviceのような移行サービスの利用を検討
- 週末移行を実現することで、ビジネスへの影響を最小限に
アーカイブ動画公開中!
本セミナーのアーカイブ動画はYouTubeにて公開されています。https://go.beex-inc.com/l/1008642/2026-02-23/4d53x
※本ウェビナーでご紹介した内容は、2026年1月時点の公開情報を元にしています。実際のサービス導入にあたっては最新情報をご確認ください。
お問い合わせ
SAP S/4HANAコンバージョンやダウンタイム短縮、BeeX Swifty Moving Serviceについてのご相談は、以下までお気軽にお問い合わせください。
