かんぽシステムソリューションズ株式会社

AWS

クラウド利用の拡大に合わせCCoEを設立 クラウド標準ガイドを策定し、AWS の管理項目も集約

業種
情報サービス
従業員数
300~999人

クラウド利用の拡大に合わせCCoEを設立 クラウド標準ガイドを策定し、AWS の管理項目も集約

かんぽ生命のIT戦略パートナーとして巨大システムの設計・開発・保守を手がけるかんぽシステムソリューションズ(以下、かんぽSOL)は、クラウド・SaaS利用の拡大を背景にCCoE( Cloud Center of Excellence:クラウド活用推進の専門組織)を設立し、標準アーキテクチャの整備やコスト可視化・管理を含むガバナンス強化に取り組んでいます。BeeXの支援のもと、クラウド標準ガイドの策定とAWS Control Towerによる管理の一元化を実現し、統制と安全性を確保。若手メンバー主導のこの活動は、AWS活用人材の育成にも貢献しています。

課題
  1. クラウドやSaaSの利用拡大に伴い、その管理・統制の強化が必要に
  2. AWSの活用において、共通して必要になる管理項目を集約したい
  3. CCoEメンバーおよび社員への知識や技術の底上げ
解決したこと
  1. クラウド標準ガイドの整備
    (AWS向けクラウド開発ガイド、クラウド運用ガイド)
  2. AWS Control Towerを構築し、AWSの管理項目を一元管理
  3. CCoEメンバーおよび社員に向けた教育の実施

クラウドやSaaSの活用拡大に合わせ
その標準化を目指し部門を越えた横断的組織=CCoEを設立

1985年の設立以来、ITによってかんぽ生命の「今を支え、明日のインフラを創造する」会社として、全国約20,000局の郵便局を窓口としたユニバーサル・サービスを、システム面から支えてきたかんぽSOL。同社は、長年にわたって培ってきた保険業務に対する深い知識と経験、かんぽ生命に対する高いロイヤリティを強みに、「IT技術の力」と「和の力」を結集し、常にイノベーションを起こすことにより、お客さまと共に成長し、豊かで安心な社会の実現に貢献することを目指しています。

かんぽ生命のIT戦略パートナーとしてグループにおけるDX推進を支える同社は、2021年より全社的な開発体制を整備。システムのクラウド化などの基盤強化に注力してきました。一方で、ビジネス部門や開発部門、運用部門が独自に各種クラウドやSaaSを利用するようになった結果、その管理や統制がきかなくなってきたという課題も生まれました。

そこで同社は、クラウド基盤やサービス選定に関して一定の基準を定め、クラウド管理・統制に向けた専門組織の立ち上げが必要であると判断。2024年度にビジネス部門とIT部門の連携を推進する横断的組織としてCCoEを設立しました。常務執行役員 クラウドサービス本部 本部長の堤浩一氏は「CCoEのミッションは、標準アーキテクチャを整備し、統制プロセスを構築することに加え、コスト管理と人材育成を進めることです。大切なのは、CCoE、ビジネス部門、IT部門が三位一体となって共創し、ビジネスに寄与していくことです」と語ります。

同社のCCoEは、20代~30代の若手を中心とした8名体制でスタートしました。
「自ら課題を見つけ、主体的に改善できる優秀な人材をメンバーとして揃えました。若手中心のチームにアクセル全開で走ってもらうと同時に、私がブレーキ役となることで、バランスの取れた組織運営となるよう意識しています」(堤氏)

クラウド統制を適用するための「クラウド標準ガイド」を策定
実績を評価しBeeXを作成のパートナーに採用

かんぽSOLは、CCoEにおける最初の取り組みとして、ビジネス部門およびIT部門にクラウド統制を適用していくための「クラウド標準ガイド」を策定し、利用フェーズとターゲットを明確にすることで、ユーザーに目的や利用シーンを分かりやすく示すことにしました。具体的には、ガバナンス/クラウド選定/SaaS選定/アプリ実行基盤選定/データ連携アーキテクチャ/標準リファレンスアーキテクチャ/クラウド開発/クラウド運用と、8種類のガイドを作成しています。

クラウド活用の方針は、可用性や機密性など同社の定めた基準を満たせる場合には積極的にクラウドを採用することとしました。クラウドサービスについては、特定のベンダーにとらわれることなく「サポート体制」「ミッションクリティカル性」「ベンダーとの親和性」など、要件に応じて採用する方針としていますが、柔軟性や迅速性の観点からAWSを主要な選択肢として位置付け、AWS環境の拡大を推進しています。

こうした背景から、クラウド標準ガイドにおける「クラウド開発」と「クラウド運用」の作成は、他社のクラウドや共通コンテナ基盤に先駆けてAWS向けから着手しました。このとき、AWSにおけるセキュリティ、運用、パフォーマンス測定、信頼性などを定義するクラウド設計・運用の標準ガイドラインの作成において、支援を行ったのがBeeXでした。
「BeeXは別のプロジェクトをきっかけに存在を知ったのですが、過去の実績から当社のCCoEにBeeXのクラウド利用標準化や運用支援のサービスがマッチしていると判断し、パートナーに選びました」(堤氏)

各クラウド標準ガイドは、社内に設置した技術審査委員会でも活用されており、新技術の利用がガイドラインに準拠しているかを確認しています。CCoEは技術審査委員会のメンバーとして参画し、企画フェーズと設計フェーズのそれぞれでビジネス部門や開発部門と共創しながら、各部門から提示された要件が各種ガイドに準拠しているかを検証しています。

全社システムの開発に際しAWSの管理項目を一元化
ガバナンス強化を実現し、統制と安全性を確保

かんぽSOLのCCoEはクラウド標準ガイドの策定と並行して、AWS Control Towerの整備にも取り組みました。
「2024年当時、AWSを活用した全社システムの開発案件が2つ並行して動いていました。そうした中、BeeXのコンサルタントより『今後もAWSの利用を拡大していくなら、共通して必要となる管理項目を一元化したほうがよい』とアドバイスを受け、CCoEのプロジェクトとして取り組むことにしました」(堤氏)

プロジェクトはCCoEチームを主体に進められましたが、新たな試みとして開発部門から入社2年目、3年目の社員を公募し、意欲の高い者3名を選抜して構築メンバーにアサインしています。
「結果としてやる気のある社員が集まり、若手の育成の場となりました。また、メンバーそれぞれが自発的に取り組んだ結果、大きな成功体験につながっています」(堤氏)

具体的なプロジェクトの進め方としては、BeeXの支援を受けつつ、アカウント管理、セキュリティ管理、リソース設計、コスト最適化、モニタリングなどの項目を整理。開発中の2つのシステムに対してAWS Control Towerを適用し、本番稼働前に整備を完了しました。クラウドサービス本部 クラウドCoE部部長の惣田隼矢氏は「AWS活用を本格的に拡大する前の段階で共通機能が一元化されたことで、ガバナンスの強化につながりました。AWS Control Towerは現在もCCoEチームが管理・運用しており、アカウント管理やセキュリティ管理を担当することで、全社システムの統制と安全性を確保しています」と語ります。

コスト情報の一元監視により利用料を17%削減
AWSのさらなる活用に向けて社内教育も実施

このほか、かんぽSOLではコスト可視化の取り組みとして、AWSや他社クラウドのコスト情報を集約し、Amazon Quickで一元監視できる仕組みを実装しました。これは若手社員を中心に内製したもので、統一されたレイアウトで可視化されています。また、AWSのリソースを月次で監視・分析し、その結果をもとにリソースの最適化、未使用インスタンスの停止、ログの抑制などを行いながら、コストの最適化を図っています。
「Amazon Quickの活用により、報告資料の作成工数が大幅に削減されました。また、AWSのTAMからAWS Trusted Advisorを活用したコスト最適化提案を受けたり、Savings Plansを導入したりと、さまざまな取り組みの結果、2025年度の利用料は前年度から17%削減されました」(惣田氏)

さらには、全社でAWSを活用するため、社員の育成にも力を入れています。具体的には、勉強会とハンズオン研修をAWSジャパンに依頼し、AWSに触れる機会を増やすことで、社内全体の理解度を深めています。

一方で、CCoEの若手社員に対しては、BeeXが、かんぽ生命に特化した内容の教育を実施しました。かんぽ生命システムをケーススタディとして、AWS環境に構築した分析システムを題材に、実装や改善のポイントをAWSのWell-Architected Frameworkに照らして評価。また、AWS Control Towerの運用に向けたトレーニングとして、AWS Control Towerでの検知結果を、必要な項目に絞りこんで自動的に抽出する仕組みをAWS Lambdaで実装しました。「汎用的に書かれている既存の社内ドキュメントやガイドラインをベースに、クラウドやAWS特有の使い方と照らし合わせながら、具体的な実装のポイントを学びました。社内には、オンプレミスを理解しているエンジニア、AWSを理解しているエンジニアがそれぞれいます。Beexの教育は定型的なものではなく、なぜその設計がされているのか、議論や問いかけを通じて自ら探求させるかたちで進められるため、若手社員からも非常に好評でした」(惣田氏)

クラウドシフトの推進と合わせ、AI活用により
顧客体験の向上や業務の効率化を目指す

2020年よりグループの中期経営計画の一環としてITシステムの改革に取り組んできたかんぽSOL。同社は2026年度から2028年度までの中期経営計画において、既存システムの大規模更改までを見据えたクラウドシフトを推進していく計画です。この際、大きなトピックとなるのがAIの活用で、専用のプラットフォームを構築し、顧客体験の向上と業務の効率化を目指していく方針です。
「AIの領域については、安全に利用するための標準ルールの整備や、AI駆動による開発・保守業務の効率化が課題となっています。そこで、CCoEとは別にグループ内にAI CoEを組成して情報を一元化し、小型プロジェクトで積極的にAIを利用しつつノウハウを蓄積していきます」(堤氏)

また、クラウド人材の育成による内製化領域の拡大や、社員のクラウド活用に対する意識醸成にも取り組みながら、新たな価値の創出を目指す考えです。堤氏はBeeXへの期待について、「当社としては、今後ともAWSの利用を拡大していくつもりです。もしアプリケーション領域を私たちが担う際には、またご相談できればと思いますので、そのときは高度な技術力でよりよいシステムになるよう、ご支援いただければと思います」と述べ、惣田氏も「今回は標準アーキテクチャガイドラインの作成をご支援いただき、質の高い成果物を得ることができました。若手の人材育成についても、BeeXの担当者のファシリテーション力の高さに驚きましたし、結果としてAWS初心者の社員の成長につながりました。引き続き、さまざまな困りごとの相談に乗っていただければと思います」と語っていただきました。

インタビューにご協力いただいた方々

  • クラウド利用の拡大に合わせCCoEを設立 クラウド標準ガイドを策定し、AWS の管理項目も集約
    かんぽシステムソリューションズ株式会社 常務執行役員 クラウドサービス本部 本部長
    堤 浩一 氏
  • クラウド利用の拡大に合わせCCoEを設立 クラウド標準ガイドを策定し、AWS の管理項目も集約
    かんぽシステムソリューションズ株式会社 クラウドサービス本部 クラウドCoE部 部長
    惣田 隼矢 氏

かんぽシステムソリューションズ株式会社

1985年に設立された日本情報通信開発株式会社を前身とし、2011年に現在の社名に変更しました。全国に広がる約20,000局の郵便局を窓口とした、かんぽ生命保険のユニバーサル・サービスを提供するにあたり、契約管理や顧客管理、業績管理、保険金支払、端末処理、各種帳票出力など、さまざまな業務を支えるシステムの設計・開発・運用・保守を手がけています。

記載されている、会社名、製品名、ロゴなどは、各社の登録商標または商標です。

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