株式会社テイエルブイ

AWS

AWSのrootユーザーを自社管理のまま、ライセンスリセールを活用。セキュリティを担保しつつコスト削減を実現

業種
製造
従業員数
300~999人

AWSのrootユーザーを自社管理のまま、ライセンスリセールを活用。セキュリティを担保しつつコスト削減を実現

蒸気バルブ(スチームトラップ)のトップメーカーとして知られ、製品の製造に加えて、コンサルティングからエンジニアリング、サービスまで幅広い事業を展開するテイエルブイ(以下、TLV)。同社はプラント全体の最適化を実現する管理プログラムをアマゾン ウェブ サービス(AWS)上で運用していますが、セキュリティを担保しつつ、いかにコストを削減するかが課題となっていました。そこで同社は、BeeXのライセンスリセールサービス「BeeXPlus」を採用。セキュリティの強度を下げることなくコスト削減を実現し、お客様への提供価値の向上にもつなげています。

課題
  1. AWS運用にかかるコストを削減し、サービス機能向上への投資を拡大したい
  2. AWSのrootユーザーの自社管理は必須要件であり、ベンダー管理ではサービス提供のハードルが上がってしまうため、ライセンスリセールへの切り替えができなかった
  3. ライセンスリセールへの移行後も、過去の料金情報をいつでも参照できるようにした
解決したこと
  1. ライセンスリセールサービス「BeeXPlus」の採用でAWS運用にかかるコストを削減し、サービスの機能向上に振り向けられる余力を創出
  2. rootユーザーの管理と料金の支払いを分離可能な「AWS Billing Transfer」への迅速な移行検証
  3. 過去の料金情報を運用管理者向けポータル「BeeX Service Console(BSC)」に移行し、参照可能に

蒸気プラントの安定した運用を支援するPMOP
関連データのすべてをAWS上に集約

さまざまな産業で活用されている蒸気エネルギー。兵庫県加古川市に本社を構えるTLVは、この分野におけるスペシャリストです。主力製品のスチームトラップは国内で圧倒的なシェアを誇り(約60%、2023年時点)、世界シェアでも3位に位置します。
単なる製品の提供にとどまらず、サービス、エンジニアリング、コンサルティングなども手がけており、プラント全体を最適化・運用支援するプログラムを展開。プラントの安心・安全な操業を支えるとともに、蒸気を軸とした省エネ推進により低炭素社会の実現に貢献しています。

同社では、プラント全体の最適化を実現する管理プログラムとして「PMOP(Plant Monitoring & Optimization Program)」を提供しています。これは、「状態監視(Condition Monitoring)」と「リアルタイムな最適化(Timely Optimization)」を組み合わせたもので、コンサルティングからエンジニアリング、サービスまでを一貫して支援するものです。そして、このPMOPを支えるIT基盤が「PMOPシステム」です。

近年、蒸気プラントの運用において、熟練技術者の引退や労働力の不足、設備の老朽化によるトラブルの発生などが深刻な問題となっています。PMOPシステムはこうした問題を解決し、安定した運用を実現すべく生まれたもので、「ベテランしか気づけなかった異変」を、誰もが早期に察知できるようにした仕組みです。

CES本部 PMOPシステム開発部 マネージャーの喜田速人氏は「PMOPシステムは、単なるソフトウェアではなく、当社が長年現場で培ってきたハードウェア技術とデジタル技術を融合し、現場の『勘』をシステムとして体系化しています。具体的には、蒸気プラントに設置したデバイスから取得したデータや、診断チームが現地で収集した情報、チーム内に蓄積した知見、さらにはお客様から提供されたデータをクラウド上に集約して一元管理。これらを必要な形に加工・可視化し、お客様と共有することで、改善策の検討から実施後の効果確認までを伴走します。これにより、経営層は費用対効果を踏まえて次の一手を打つことができ、現場の運用担当者もデータに基づいた適切な対応が可能になります。また、データをもとに作成した作業手順書をチーム内で共有することで、現場ノウハウの継承にもつなげます」と説明します。

もともとPMOPシステムの前身となるBPSTM(Best Practice of Steam Trap Management)システムは、2006年に蒸気エネルギー設備の点検を目的に運用をスタートしたものです。当時はオンプレミス環境でファイル単位のデータを共有するにとどまり、顧客へのレポートも紙ベースでの提供でした。その後、取引先数の増加とデータ量の拡大に対応するため、2010年にいち早くAWSを採用してクラウド環境へ移行。2013年にはプラントに関わるすべてのデータを蓄積・運用する新たな環境を整備し、現在もここを中心にスチームトラップだけではなく、プラント全体の最適化を実現する管理プログラムを支えるPMOPシステムを運用しています。

「AWS Billing Transfer」により
rootユーザーの管理と料金の支払いの分離が可能に
提案力、スピード、コストを評価し「BeeXPlus」を採用

TLVがPMOPシステムをAWSで運用していく上で、新たに課題となったのがコストの最適化でした。PMOPは国内外の発電所やプラントなど社会的にも重要な施設へサービスを提供している特性上、細心のセキュリティ管理が求められます。そのため、同社はAWSのrootユーザーは自社のみが持つことを必須の要件とし、AWSと直接契約を結んでセキュリティを担保してきましたが、一方でコスト面ではさらなる最適化の余地があると考えていました。

同社はコスト削減を目的にライセンスリセールへの切り替えを検討してきましたが、この場合、リセール元のベンダーがrootユーザーを管理することになるため、同社にとって許されるものではありませんでした。
「当社のセキュリティポリシーでは、rootユーザーの管理に自社以外の第三者が関与しない体制が必須です。これは社会的にも重要なプラント施設へサービスを提供する当社の責任として、譲れない要件でした」(喜田氏)

2025年11月、こうした状況が一変します。AWSが新たな請求モデル「AWS Billing Transfer」を発表したのです。このモデルでは、rootユーザーの管理と料金の支払いを分離することが可能となり、セキュリティの独立性を保ちつつ、支払業務のみをリセールベンダーに移管できるようになりました。

BeeXからこの情報を聞いた同社は、さっそく検討をスタート。2025年12月から翌年3月にかけて自社環境へ適用可能か共同で検証を実施。新年度の2026年4月1日の運用開始に間に合わせるかたちで、BeeXの提供するライセンスリセールサービス「BeeXPlus」を導入しました。
採用の経緯について、CES本部 PMOPシステム開発部 開発チームの木村弘喜氏は「BeeXを含め複数社から提案をいただいたのですが、当時はAWS Billing Transferがリリースされてまもなく、国内での導入例もありませんでした。スムーズに進まない可能性も考慮し、こちらの求める要件に合っているか、対応がスピーディーかなどをポイントに選定を行った結果、BeeXPlusに決めました」と振り返ります。

セキュリティの強度を下げることなくコスト削減
その成果はお客様のメリットにも

前述の通り、TLVはBeeXPlusの導入にあたって、約3カ月にわたり入念な検証を行っています。この際、AWS Billing Transferの仕様ではアカウント移行後に過去の料金情報が参照できなくなることが判明したため、その解決策として、BeeXの協力のもと、BeeXPlus契約者が利用できる運用管理者ポータル「BeeX Service Console(BSC)」に過去データを移行することとしました。
「過去の履歴が見られないと何かあったときに困ってしまいます。BSCへ過去データを移行するにあたり、BeeXに本番と同様の環境を用意してもらい、正しく移行できることを確認しました。短期間で対応していただけたおかげで、新年度の運用開始に間に合わせることができました」(木村氏)

海外拠点との情報共有も課題でした。同社は米国とマレーシアにシステム開発拠点を持っているため、現地担当者へのヒアリングや合意形成が不可欠だったのです。
「rootユーザーを直接管理している両国の担当者に対し、アカウント移管に必要な情報やAWSの契約内容について随時確認しつつ、慎重に事を進めました。また、コスト管理ツールをAWS標準の『AWS Cost Explorer』からBSCへ切り替えるにあたっては、海外の開発者でも違和感なく使えるよう、画面表示などにも工夫を凝らしました」(木村氏)

今回の導入により、同社はセキュリティの強度を落とすことなくAWS運用にかかるコストの削減を実現しました。削減によって生まれた余力をサービスの強化に振り向けられるため、これは同社だけでなく、その顧客に対しても大きなメリットとなっています。
「AWS運用にかかるコストの最適化で生まれた原資をPMOPの開発に再投資することで、最終的にお客様への提供価値の向上につながります。これはrootユーザーに第三者が介在せず、セキュリティが担保された上での話になりますので、お客様にもきっとご満足いただけると確信しています」(喜田氏)

AWS運用の観点では、パートナーが増えたこともメリットだといいます。今回BeeXとの接点が生まれたことで、AWS本体からの支援に加え、BeeXからも多角的な視点でアドバイスを受けられる体制が整いました。
「相談先の選択肢が増えたことで、多角的な意見をもとに新たな施策を検討しやすくなったと感じています。今後もBeeXとの連携を深めながら、より良い運用体制を築いていきたいと考えています」(喜田氏)

AWSアカウントの一元管理へ
コスト最適化とAI活用も見据えた次のステップ

今後、TLVはPMOPシステム以外で利用しているAWSアカウントについても、可能な範囲でBeeXPlusに統合し、管理の一元化とコストの最適化を進める方針です。また、運用におけるAIの活用も視野に入れており、PMOPシステムのインフラの監視・復旧において、AIを用いた迅速かつ的確なインシデント対応や堅牢なセキュリティの実現を目指しています。
「このままAIが高度化していけば、いずれ自動で復旧などの対応が可能になると思います。とはいえ、AIにすべてを委ねるのではなく、最終的な判断は人間が行うべきです。今後はAIを適切に扱える人材の育成やインフラ運用のノウハウ継承を並行して進めていくことが重要になりますので、そういった意味でもBeeXの支援に期待しています」(喜田氏)

今回の導入におけるBeeXの評価については、問い合わせへの的確な対応とレスポンスの速さを特に評価しています。
「AWSの利用コストは、サービスの提供を続ける上で継続的な課題になります。BeeXにはタイムリーな提案を引き続き期待するとともに、クラウド専業ベンダーならではの深い知見で、効果的な活用に向けていろいろとアイデアをいただければと思います」(木村氏)

インタビューにご協力いただいた方々

  • AWSのrootユーザーを自社管理のまま、ライセンスリセールを活用。セキュリティを担保しつつコスト削減を実現
    株式会社テイエルブイ
    マネージャー
    CES本部 PMOPシステム開発部
    喜田 速人 氏
  • AWSのrootユーザーを自社管理のまま、ライセンスリセールを活用。セキュリティを担保しつつコスト削減を実現
    株式会社テイエルブイ
    CES本部 PMOPシステム開発部
    開発チーム
    木村 弘喜 氏

株式会社テイエルブイ

1950年創業。1972年にTrouble Less Valveに由来する現在の社名で新たなスタートを切りました。以来、蒸気エネルギーのスペシャリストとして、品質至上主義と独自性の追求を理念に掲げ、数多くの製品・サービスを市場に送り出しています。約4,900件の特許を保有する技術力を武器に、グローバル規模でビジネスを展開しており、海外13カ国にある現地法人のもと、50以上の国や地域で100以上の販売・サービス網を張り巡らせています。

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記載されている企業名および担当者の情報は取材当時のものです。

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