フォスター電機株式会社

Google Cloud Platform

事業継続計画(BCP)の強化と運用維持コストの削減を目指しSAP ERPをGoogle Cloud上に移行

業種
製造
従業員数
1000人以上

事業継続計画(BCP)の強化と運用維持コストの削減を目指しSAP ERPをGoogle Cloud上に移行

1949年の創業以来、「音のスペシャリスト」として市場のニーズに的確に応え、多くのユーザーから信頼を得てきたフォスター電機。同社は基幹システムにSAP ERPを導入し、2015年から某クラウドサービス上で運用してきましたが、事業継続計画(BCP)のさらなる強化とシステム運用の効率化を目指し、Google Cloudへの移行を決断しました。そのパートナーには、SAP ERPのクラウド移行において豊富な実績を持つBeeXを選定。4カ月という短期間で移行を成し遂げ、アプリケーションのパフォーマンス向上や運用負荷・コストの軽減などを実現しています。

課題
  • 事業継続計画(BCP)対策の強化
  • 運用コストの削減
  • AI、ビッグデータの活用に向けた基盤づくり
解決したこと
  • 稼働後にトラブルなし、アプリケーションのパフォーマンスが向上
  • 運用にかかる負荷・コストが軽減
  • 将来のAI、ビッグデータの活用も見据えた基盤が完成

BCP対策の強化や運用コストの削減を目指しSAP ERPの基盤を見直し

世界でも有数の音響メーカーとして、音響機器・部品の開発、設計から製造までを手がけるフォスター電機。同社は「未来社会に音で貢献する」というビジョンのもと、音の入口から出口まで、ユーザーの要望に応えるさまざまな製品をグローバルに提供してきました。

同社は2008年、ビジネスを支える基幹システムとして、SAP ERP(FI/CO、SD、MM)を導入。本社のマシンルームにサーバーやネットワークを設置し、オンプレミス環境で運用を開始しました。しかし2011年3月には東日本大震災が発生。その影響で本社のある昭島市が計画停電のエリアに入ったことで、システム停止のリスクに直面します。

結果的に停電という最悪の事態は回避されましたが、これを機に同社は事業継続計画(BCP)を再検討。2015年5月、国内ベンダーの運営する某クラウドサービスを採用し、SAP ERPが稼働するサーバーや、周辺システムを移行させました。

それから約5年間、同社はこのクラウドサービス上でSAP ERPの運用を続けてきたのですが、あらためて基盤を見直すことにしました。その目的について経営情報戦略室 室長の田沢純氏は「BCP対策のさらなる強化、運用コストの削減、柔軟性の向上などを目指しました。加えて、当社がデジタルトランスフォーメーションを進めるにあたり、AIやビッグデータの活用に向けたファーストステップとする狙いがありました」と説明します。

チャレンジに対して前向きでSAP ERPのクラウド移行に豊富な実績を持つBeeXを選定

フォスター電機は複数のクラウドサービスについて慎重に検討を重ねた結果、Google Cloudを新たな基盤として採用しました。選定が行われた2019年当時、国内ではGoogle Cloud上でSAP ERPが稼働している実績がなかったそうですが、この選択に不安はなかったといいます。経営情報戦略室 業務システム開発1課 課長の中村俊一氏は「当社は2011年からG Suiteを利用しており、Googleのサービスに対する信頼がありました。また、2018年に当社のミャンマー工場で製造実行システム(MES)を新規導入する際にGoogle Cloudを採用しており、稼働から約2年にわたって安定運用を続けている実績もあったのです。加えて、私自身も年次カンファレンスの『Google Cloud Next』で情報収集を重ね、Google Cloud の将来性に期待を抱いていました」と語ります。

移行を支援するパートナーには、グーグル・クラウド・ジャパンからの推薦もあり、BeeXを選定しました。BeeXを選んだ決め手は、SAP ERPのクラウド移行に豊富な実績があり、マルチクラウドにも対応している点があったといいます。
「国内でSAP ERPのGoogle Cloudへの移行事例がない中、BeeXは初めてのチャレンジに対しても前向きで、私たちと同じ方向を見ながら進めてくれそうという期待感がありました」(中村氏)

SAPシステム移行方式

テレワーク期間中もオンライン会議で密にコミュニケーション。4カ月という短期間で移行を実現。

プロジェクトは安全性を優先し、SAP ERPや周辺システムに大きな変更を加えず、最短期間でGoogle Cloud上へ移行する方針をとりました。具体的には、SAP ERPのOSイメージを既存環境からエクスポートして新環境に移行したのち、OSやSAPカーネルのアップグレードを実施。最後にデータ移行するという流れです。

プロジェクトは2020年1月よりスタート。環境設計、移行手法を検討するPoC、移行設計、環境構築、移行リハーサル、テストなどを経て5月の週末2日間で本番環境を移行しました。時期的に新型コロナウイルスに対応するため実施されたテレワーク期間と重なってしまったものの、大きな影響もなく順調に進められたといいます。
「テレワーク期間中もオンライン会議でBeeXやアプリケーション担当のベンダーと密にコミュニケーションを取ることで、4ヶ月という短期間で移行を実現させることができました」(中村氏)

アプリケーションのパフォーマンスが向上し運用負荷・コストが軽減。サーバーの柔軟な調達が可能に。

フォスター電機がSAP ERPをGoogle Cloudへ移行後、基盤が原因のトラブルは一切なく、安定した稼働を続けています。アプリケーションのレスポンスも向上し、最大で82%向上したケースもあるとのことです。

また、運用負荷・コストの軽減やサーバー調達の柔軟性などのメリットも大きいといいます。経営情報戦略室 業務システム開発2課 課長 佐藤翼伸氏は「検証環境や開発環境は、使わない夜間や休日に落としておくことで、無駄なコストがかからずにすんでいます。さらに、サーバーはインスタンスコピーだけで起動できるので、急なテストの要求にも柔軟に対処でき、テスト品質の向上に貢献しています」と導入効果を強調します。

AIやビッグデータの活用に向けGoogle BigQueryの導入を検討

フォスター電機では、SAP ERP関連システムのGoogle Cloud移行プロジェクトを3つのフェーズで進めており、今回のSAP ERPおよび周辺システムの移行はフェーズ1に当たります。現在はフェーズ2として、2020年下期のリリースを目指しデータウェアハウスやグローバル系業務システムの移行を進めています。フェーズ3ではそれ以外のシステムが稼働しているサーバーを移行する計画です。
「既存のクラウドサービス上で運用していたシステムは、原則としてすべてをGoogle Cloudに持って行く予定です。現在オンプレミス環境で稼働しているシステムについてもできる限り移行し、本社で管理するサーバーゼロを目指します」(中村氏)

加えて同社は、デジタルトランスフォーメーションの実現に向けて、AIやビッグデータの活用を構想しています。田沢氏は「SAP ERP上のデータ、製造系データ、IoTデータなどをGoogle Cloud Platform上に集約し、それぞれを組み合わせて分析することを検討しています。その意味で先日、BeeXからビッグデータ分析のGoogle BigQueryを紹介いただきましたので、導入を前向きに考えています」と語ってくれました。

プロジェクトを通してのBeeXの支援については、佐藤氏は「私たちもSAP ERPを日常的に運用していますが、BASISに関する知識は不足しがちです。この点、BeeXはナレッジも豊富で非常に助かりました」と評価。田沢氏も「難しいプロジェクトに正面から対処いただき、4カ月の短期間で移行していただけたことに感謝しています」と話しています。

ビジネスの変化に柔軟に応えることができるGoogle CloudとBeeXのタッグは、これからもフォスター電機の新たなビジネス戦略・IT戦略を支えていくことでしょう。

インタビューにご協力いただいた方々

  • 経営情報戦略室 室長
    田沢 純 氏
  • 経営情報戦略室 業務システム開発1課 課長
    中村 俊一 氏
  • 経営情報戦略室 業務システム開発2課 課長
    佐藤 翼伸 氏

フォスター電機株式会社

1949年6月にスピーカメーカーとして創業しました。現在は音響機器・部品の総合メーカーとして、スピーカ事業、モバイルオーディオ事業、小型音響部品事業などを展開。OEMメーカーとしてスピーカやヘッドホン、警報音用ブザーなど提供しています。海外市場にも早くから着目しており、アジア、欧州、北米、南米に進出。近年は、成長戦略として車載用ビジネスを主軸に据えており、車載オーディオ用スピーカはグローバルでもトップクラスのシェアを誇ります。

SAP は、ドイツおよびその他の国々におけるSAP SEの登録商標です。

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