自動車やバイクの部品メーカーとして、グローバル規模で事業を展開するミツバ。ビジネスを支える基幹システムとして、SAP ERP(ECC 6.0)を利用してきた同社ですが、ECC 6.0のサポート終了を受けてSAP S/4HANAへの移行を決断。まずはECC 6.0をクラウドリフトに着手しました。同社はクラウドサービスにアマゾン ウェブ サービス(AWS)を採用し、パートナーにBeeXを選定。利用ガイドラインを整備した上で、移行アセスメントを経て国内本社とグループ会社の6システムを2段階でリフトアップ。周辺システムを含め、全体で30台以上のサーバーのAWS移行を完了しました。これにより、SAP S/4HANAへの移行の布石を打つとともに、AWS利用の標準化やセキュリティの強化、コストの可視化が実現しました。
- 課題
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- 将来のSAP S/4HANAへの移行に向けた環境を準備したい
- ECC 6.0のインフラをデータセンターからAWSへ移行したいが、初めてのチャレンジで不安
- 6つのECC 6.0と周辺システムを短時間のシステム停止で移行したい
- 解決したこと
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- .AWSへの移行でSAP S/4HANAへの移行に向けた環境を整備
- BeeXの支援のもと、AWS利用の標準化やセキュリティの強化、コストの見える化などが実現
- 緻密な移行計画とスケジュール調整、2回のリハーサルにより、最低限のシステム停止で移行を実現
将来のSAP S/4HANAの導入を見据え
インフラをクラウドサービスに移行
群馬県桐生市に本社を置くミツバは、2026年に創業80周年を迎える独立系自動車部品メーカーです。「モーター・制御・機構」を技術の柱としており、バイクのエンジンを始動するスターターモーターや、高級車などで幅広く使用されるルーフモーターについては、世界でもトップクラスのシェアを誇ります。現在は、「ミツバビジョン 2030」のもと、電動化への最適ソリューションにより脱炭素社会の実現に貢献し、共に成長し続ける企業グループを目指しています。
同社は1999年に会計システムとして「SAP R/3」を導入。2005年には「SAP ERP(ECC 6.0)」にバージョンアップし、領域をロジスティクス(購買、在庫、販売、生産)まで拡大しました。「L-MACS」と名付けられた基幹システムは11カ国・28拠点に展開しており、同社のグローバルビジネスを支えています。L-MACSプロジェクト プロジェクトリーダーの入江祐介氏は「日本、北米、欧州、アジア、中国と、世界各地に生産拠点を持つ当社において、多言語・多通貨に対応しているSAP ERPを導入することは必然の流れでした」と振り返ります。
「ECC 6.0に蓄積してきた大量のデータの利活用や、グローバルでの業務の継続性を考慮すれば、SAP S/4HANA以外の選択肢はありませんでした。ただ、SAP S/4HANAではデータベースがLinuxに限定され、従来のWindowsに対応していません。そこで、これを機会にデータセンターでの自社運用から、クラウドサービスへ切り替えることにしたのです」(入江氏)
柔軟性の高い提案と技術力の高さ・豊富な実績を評価し
BeeXを移行パートナーに指名
クラウドサービスについては、SAP ERPの稼働実績やサポートの姿勢を評価しAWSを選択。複数のベンダーからの提案を検討した結果、BeeXをパートナーに指名しました。決め手となったのは、次期L-MACSを見据えた「選択データ移行」の提案です。任意のデータを選んで移行するこの方式により、システムの停止期間を最小限に抑えることが可能となりました。入江氏は「BeeXの提案は、停止期間を短時間に抑えられる柔軟性の高いものでした。この提案に加え、高い技術力と豊富な実績を評価し、支援をお願いすることにしました」と振り返ります。
プロジェクト開始にあたり、SAP S/4HANAへのバージョンアップとクラウドへの移行を同時に行うのは難易度が高いことから、まずはECC 6.0のままAWSに移行するクラウドリフトから着手。その準備段階として、2024年8月から11月にかけて、BeeXの「AWS利用促進ガイドライン策定サービス」を活用してガイドラインを作成し、移行アセスメントを実施しました。
ICTデジタル推進部 ICT技術課 課長の皆川知也氏は「当社にとってAWSの本格利用は初めてのケースでしたが、BeeXより将来の社内システムのAWS移行に備えてガイドラインを作成するのが定石と教えていただきました。そこで、BeeXの支援のもと、AWSのベストプラクティスをベースに、アカウント管理、VPC、バックアップ、セキュリティ対策、コスト管理などの方針を決めてガイドラインに落とし込んでいきました」と振り返ります。
また、L-MACSの運用・保守を長年手がけてきた両毛システムズ 産業事業部 産業ソリューション部 産業ソリューション第1課 係長の金澤仁氏も「AWSへの移行は実績のある専用ツール(AWS MGN)を使うという提案がBeeXからありましたので、検証やPoCの実施を依頼し、私たちが確認した上で移行に着手しました」と語ります。
6つのECC 6.0と周辺システムを
BeeXの支援のもと2段階に分けて移行
ガイドラインの整備と移行方針の策定を経て、2024年9月、ミツバはAWSとオンプレミス間にプライベート接続によるネットワークを構築。11月までAWS利用ガイドラインの整備とSAP移行アセスメントを実施し、2024年12月~2025年4月までを構築フェーズとして、インフラとBASISそれぞれの環境の初期構築、運用設計、移行手順の作成、動作確認を行いました。そして2025年5月~9月までを移行フェーズとし、インフラとBASISそれぞれの運用テスト、移行リハーサル、本番移行を実施しています。
この際、ポイントになったのが、国内および海外拠点で運用している6つのシステムの移行です。今回の移行の対象となったのは、①国内のミツバ本社、②国内の関連会社、③フィリピン/中国、④インドネシア/ベトナム、⑤欧州/インド、⑥北米、以上6つのインスタンスで運用しているECC 6.0でしたが、業務の都合から同時の移行はできなかったため、まずは本社システムを先行し、他の5システムは後日に実施する方針を決定。本社は2025年8月9日~11日までの3日間、本社以外は9月12日~14日までの3日間で移行を実施しました。
「大変だったのが9月に行った5システムの同時移行です。アジアと欧米で時差がある中、実質2日間の停止期間で移行しなくてはならず、スケジュールの組み方などを工夫することで乗り切りました。BeeXには、2回のリハーサルを含め、計画段階から丁寧にサポートいただき、本番移行もスムーズに進みました」(金澤氏)
本プロジェクトでは、ECC 6.0以外にも周辺の受発注システムや購買システムなど、標準外部システムのAWS移行も対象に含まれており、BeeXの支援を受けつつ両毛システムズが主体となって実施しました。
両毛システムズ 産業事業部 産業ソリューション部 産業ソリューション第1課 係長の冨宇加大樹氏は「6つのECC 6.0と標準外部システム、合わせて30台以上のサーバーと、1,000本弱におよぶ標準外部システムのプログラムを移行までに検証するのは大変でした」と語ります。「プログラム本数の多さに加え、それぞれがECC 6.0と連携しているため、影響を確認する作業に時間を要しました。今回はECC 6.0のインフラおよびBASISの移行関連のタスクをBeeXにお任せできたため、私たちのBASIS作業は簡単な検証と確認のみで済み、アプリケーションの動作確認に多くの時間を割くことができた点は非常にありがたかったです。」

AWS利用の標準化やセキュリティの強化、
コストの見える化が実現
BeeXの運用支援により安定した稼働を維持
ミツバがECC 6.0をAWSへ移行後、各システムは安定した稼働を続けています。皆川氏はプロジェクトを通して得られた成果について、ガイドラインの整備によるAWS利用の標準化、セキュリティの強化、インフラコストの見える化・最小化の3つを挙げています。
「今後、社内からシステムのAWS移行や新規利用の要望が上がった際も、ガイドラインに則ったサポートが可能になり、BeeXにも支援の依頼がしやすくなりました。また、セキュリティグループの通信制御も実現し、社としてのセキュリティレベルを高めることができました。コスト面においても、日々AWSにかかる金額が可視化され、コスト管理が楽になりました」
現在は、インフラとBASIS領域の運用をBeeXが担当し、安定した運用を維持する体制が整備されています。金澤氏は「レスポンスの低下など何かトラブルが発生したときも、BeeXに詳細な調査をお願いできるので、解決までの時間が短縮されるのではないかと思います。また、セキュリティ面でもアドバイスいただけるので、運用の高度化にも期待しています」と語ります。
一方、入江氏はミツバ、両毛システムズ、BeeXによる3社体制が確立されたことで、次期L-MACSの検討が加速することを期待しています。
「これまで両毛システムズには、SAPのアプリケーション保守から、データセンターにおけるインフラやBASISの運用まで、すべてを頼ってきましたが、インフラやBASISの領域をBeeXにお任せすることができれば、次期L-MACSに注力する時間も生まれますので、グループにとってのメリットにつながると思います」(入江氏)
SAP S/4HANAへの移行に向けてクリーンコア化を加速
BeeXの提案力と解決力を評価、引き続きの支援を期待
ミツバは今後、SAP S/4HANAへの移行について本格的な検討を開始し、現行システムのクリーンコア化に向けてアドオンの削減に取り組む考えです。また、海外のSAP ERPの海外リージョンへの移行や、本社、国内子会社、海外子会社で個別運用している標準外部システムの統合による運用の効率化を図る計画です。
本プロジェクトでのBeeXの支援は、的確な提案と課題の解決力で高く評価いただきました。入江氏は「質問した際も自信を持って“こうしましょう”と答えていただけるので、迷うことなくプロジェクトを進めることができました。本稼働後にレスポンスが低下したときも、最適な改善策がすぐに返ってきました」と述べ、皆川氏も「本プロジェクトはAWSへの移行やオンプレミス間とのネットワーク接続など、私たちにとって新しいチャレンジとなりましたが、BeeXからはさまざまな選択肢を提示していただきました。今後も当社のクラウド活用について、幅広く支援いただければと思います」と期待を語りました。
インタビューにご協力いただいた方々
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- L-MACSプロジェクト プロジェクトリーダー
- 入江 祐介 氏
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- ICTデジタル推進部 ICT技術課 課長
- 皆川 知也 氏
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- 株式会社両毛システムズ 産業事業部 産業ソリューション部 産業ソリューション第1課 係長
- 金澤 仁 氏
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- 株式会社両毛システムズ 産業事業部 産業ソリューション部 産業ソリューション第1課 係長
- 冨宇加 大樹 氏
株式会社ミツバ
スターターモーターやワイパーシステム、パワースライドドアドライブシステムなど、自動車やバイクの電装部品の開発・製造・販売までを一貫して行う独立系自動車部品メーカー。独立系の強みを活かし、国内自動車メーカーはもちろん、数多くの海外主要自動車メーカーと取引を行っています。2023年度にスタートした中期経営計画では、「モビリティ社会の期待に応え持続的成長企業へ」をスローガンに、「モビリティ進化への対応」、「経営基盤の強化」、「財務体質の健全化」に取り組んでいます。
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