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2025年12月17日、ウェビナー「チームで回せるS/4HANA運用へ — 属人化や運用上の問題を解消するオブザーバビリティ活用」を開催しました。
SAP S/4HANAの運用現場では、「システムが遅い原因が特定できない」「特定の人しか対応できない(属人化)」といった課題が依然として多く聞かれます。本ウェビナーでは、こうした課題を解決する鍵として注目される「オブザーバビリティ/Observability(可観測性)」に焦点を当て、その概念から具体的な活用方法などを解説しました。
S/4HANA運用の5つの悩み
S/4HANAの運用現場や管理者からは、日々多くの悩みが寄せられています。特によく聞かれる課題としては以下の5つが挙げられます。
- 調査手段の欠如: ユーザーから「遅い」と指摘されても、どこを調査すべきか手段がわからない。
- 原因特定への障壁: 手段はあっても、根本原因までたどり着くことが困難である。
- 受動的な対応: 監視システムは存在するが、ユーザーからの報告を受けて初めてエラーに気づく状態(リアクティブ)になっている。
- 全体像の把握不足: エラーの種類や発生頻度、時系列での発生状況といった全体像が把握できていない。
- リソース判断の困難さ: 仮想サーバーのスペックが適切か(過剰投資やリソース不足ではないか)を判断する材料がない
これらの問題が起きる背景には、従来の運用スタイルの「限界」と「分断」があります。既存の監視ツールは「遅延」という事実は伝えても「なぜ遅いのか」という理由までは教えてくれません。また、インフラ、BASIS、アプリケーションの各担当が異なるツールや視点でシステムを見る「チーム間の分断」が発生しており、「自分たちの領域は正常だ」と主張し合うことで、ユーザーが直面する問題解決が停滞するケースも見受けられます。さらに、調査が特定のスキルを持つエキスパートに依存する「属人化」も、運用上の大きなリスクとなっています。

オブザーバビリティとは?
これらの課題を解決するアプローチが「オブザーバビリティ(Observability:可観測性)」です。
単に稼働しているかを確認するだけでなく、システムの内部で何が起きているかを詳細に把握することです。例えるなら、単なる生存確認ではなく、体のどこに不調の兆候があるかを調べる「健康診断」のような考え方です
ITシステムにおいては、 メトリクス、 ログ、 トレース、 イベントといった情報を収集‧ 統合し、 システムの状態を「見える化」 することで、 問題の早期発見と改善サイクルを実現します。
モニタリングとオブザーバビリティの違い
従来の「モニタリング(監視) 」と「オブザーバビリティ」には、明確な目的の違いがあります。
項目 | モニタリング(従来の監視) | オブザーバビリティ |
主な目的 | システムが機能しているかの確認 | 機能しているかの確認 + 「なぜ機能していないか」 の原因把握 |
対象 | 想定内(設定済み) の事象 | 想定外(未知) の事象にも対処可能 |
アプローチ | 異常検知後の対応(リアクティブ) | サービスレベル改善と予防的対応(プロアクティブ) |
実践活用: 6つの具体的アプローチ
ウェビナーでは、 オブザーバビリティを活用してどのように運用を変えていくか、 6つの具体的なシーンが紹介されました。
- パフォーマンス低下の原因調査: トランザクションやプログラムごとの応答時間(DB時間、CPU時間など)を可視化し、特定のSQLクエリまでドリルダウンして原因を特定します。
- エラーの分類と把握: ABAPダンプやランタイムエラーを時系列で可視化し、ユーザーへの影響範囲を即座に判断します。
- サーバースペックの適正判断: CPU使用率等に加え、ユーザーログイン数やアプリ稼働状況を統合表示することで、コスト最適化や安全なサイジングを実現します。
- 定点観測による異常検知: 過去の正常データと現在の波形を比較することで、経験の浅いメンバーでも異常を検知できるようになり、属人化を解消します。
- 調査手順の標準化(ダッシュボード化): ベテランの調査手順をダッシュボードのレイアウトに組み込み、上から順に見るだけで標準的な調査が完了するように設計します。
- ERP移行時の効果測定: クラウド移行前後のパフォーマンスやエラー発生状況を、客観的な数値で比較・証明します。
BeeXが支援する「次世代のSAP運用」
BeeXは、クラウドとSAPシステムの双方に精通したスペシャリスト集団として、計画・移行・構築から運用・最適化まで一貫したサポートを提供しています。
特に「オブザーバビリティ活用支援サービス」では、単なるツールの導入設定にとどまらず、運用に本当に役立つダッシュボードの設計や、継続的な改善活動を伴走型で支援します。
まとめ
S/4HANAの運用を「チームで回せる」状態にするためには、特定の個人のスキルに依存せず、誰もが同じデータを見て判断できる環境が必要です。オブザーバビリティはそのための強力な武器となります。
BeeXでは、S/4HANA移行だけでなく、その後の運用を見据えたオブザーバビリティの導入‧活用も強力に支援しています。運用の属人化やパフォーマンス問題にお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。
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